TOP > 授業紹介

岩田 和之 先生(株式会社 本田技術研究所 執行役員)の講義が行われました

岩田 和之 先生(株式会社 本田技術研究所 執行役員)の講義が行われました

2019. 05.22

  • 現代産業論

 2019年5月22日、2019年度「現代産業論」第4回の講義として、株式会社本田技術研究所 執行役員 岩田 和之氏から「ホンダの次世代モビリティとエネルギーマネジメント」と題して講義が行われました。

 現代の社会は、経済成長や人口増加と同時にエネルギー資源を大量に消費し、地球温暖化や大気汚染など環境を悪化させている状況にあります。2015年9月には、国連総会において「SDGs(持続可能な開発目標)」が全会一致で採択され、2030年までに達成を目指す17のゴールが掲げられました。自動車産業を取り巻く環境は、排出ガスやCO2の削減、再生可能燃料による燃料電池車や電気自動車の普及が課題となっており、各自動車メーカーは電動化を推進しなければいけない状況に置かれています。ホンダは、1970年代からの厳しい排出ガス規制をクリアする自動車づくりにいち早く取り組むなど、その削減に大きく貢献されてきました。

 こうした中で非常に重要な概念が、「Well to Wheel:燃料の製造・輸送過程を含めTOTALで環境への影響を考慮すること」と強調されました。Well to WheelでのCO2排出量は電気自動車でもゼロではなく、電気自動車の普及は上流のCO2排出量を増やし、東日本大震災以降、火力発電への依存が高まるなか、再生エネルギーをいかにうまく使いながらどうやって電気を作るかが今後の課題と述べられました。
 また、気温上昇を抑えるために2060年までに運輸部門のCO2排出量を現状の成長シナリオの3分の1まで削減する目標が出される中、次世代自動車を増やしていかないと達成は到底困難であることや、世界の自動車業界でも、先進国だけでなくインドやアセアン諸国にも内燃機関車販売禁止の動きが拡大しているとお話しされました。

 日本では、東日本大震災の後も災害が続き、「国土強靭化」が打ち出されています。近年続く日本の大災害の有事にも平時にもエネルギーデバイスとして活用できるのが、ガソリン車にはない次世代自動車・電気自動車の価値であり、「動く蓄電池、発電機」として「レジリエンス」を高めることにつながるとの見解を述べられました。ホンダでは、「つくる・つかう・つながる」をコンセプトに、エネルギー機器や次世代パーソナルモビリティの開発を展開されており、「つくる:スマート水素ステーションSHS」、「つかう:燃料電池自動車CLARITY FUEL CELL」、「つながる:外部給電器パワーエクスポーター」を御紹介いただきました。その中で、外部給電器が、鳥取大学での実証実験を通じて有事の医療機器として問題なく使用できると確認され、また、ロックコンサートでのより高音質なギター電源として活用されたとのお話しもありました。
 
 EV(バッテリー電気自動車)は、①航続距離、②充電時間、③車両価格の両立が難しく、常に電欠の不安がつきまとうことが課題といわれています。超小型EVのMC-βの実証実験を経て、着脱式可搬の小型バッテリーを多様なモビリティで共有し、さらに余剰電力を活用する実証実験をインドネシアやフィリピンで開始し、バッテリーの共通化でコストを削減し、社会シェアリングで全体のバッテリー生産量を削減し、さらにリユースを可能にしていくと抱負を述べられました。

 今後は、CO2削減のために様々なモビリティの電動化が加速することが確実であり、様々な課題はあるものの、自動車を社会の一員として使用することで課題の解決や、社会全体のCO2削減に貢献できる可能性があると説かれました。自動車は「走る電源」としての、従来の車にはなかった価値を提供することができるようになり、既存の概念を超えて進化していくであろうと述べ、講義をしめくくられました。

  • (株)本田技術研究所 執行役員 岩田和之氏
  • 講義風景

pagetop