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ランドスケープ・プランニング・プログラム

ランドスケープ・プランニング・プログラム

ランドスケープ・プランニング・プログラム設置の背景と目的

 大学院総合理工学研究科農学専攻では,近年のグローバル化に対応し,自然環境と社会環境の調和を総合的に捉えるランドスケープ・デザインを探求する教育研究領域の創出を目的とし,さらにリニア時代に向けた新たな地域づくり(国土利用,環境政策,地域づくり・人づくり等)に寄与すべく,南信州・飯田産業センターとの連携により,2023年度にランドスケープ・プランニング・プログラムを南信州・飯田サテライトキャンパス(エス・バード)に設置いたしました。
 このプログラムにおいては,地域の持つ自然の特徴及び農林業を始めとする各種産業,インフラ等の土地機能面の分析を行い,それを踏まえた適正な土地や空間の利用計画の立案ができる専門家を育成します。さらに,近年の気候変動に伴う自然災害を軽減する土地利用計画のみならず,平常時の景観的な価値や自然の持つ観光や健康増進,生物多様性の保全からなる複合的な価値を高めるグリーンインフラ等の計画提案に貢献することができる人材育成を目的とします。

ランドスケープ・デザインとは

 ランドスケープ・デザインとは,地域環境の潜在能力を生かしてその地域でなければなしえない環境を保全・創出するデザイン手法で,人が基盤を造りその後を自然が時間をかけて創ることにより完成度の高い都市,集落,農地,樹林地,河川,道路,土木構造物,建築群,街並みなどの外部空間を総合的に計画・設計することを指します。そうした職能をランドスケープ・アーキテクトといいます。
 本プログラムでは,地域の自然環境の総合分析,地形改変に伴い自然環境や景観に負荷を与えにくい造成・排水技術,それを踏まえた適正な土地利用計画の立案と空間デザイン,これらを的確に伝えるプレゼンテーション技術,こうした一連のデザインプロセスを経て世界に通用する一流のランドスケープ・アーキテクトを育成します。

世界で通用するプロフェッショナルのランドスケープ・アーキテクトになろう

 人は自然を作ることはできませんが,環境の基盤を作ることができます。自然環境には節理があります。好き勝手なデザインをすると自然環境から叱られます。
 空間をデザインする前にしなければならないことがあります。自然環境の微妙な違いを見抜きましょう。あなたが見ている環境は優れていると思ってもせいぜい60点くらいかもしれません。
 あなたが正しいデザインをすればそれを70点にして地域に還元することができます。次に地形改変に伴う正しい造成・排水設計技術を身に付けましょう。これができないと建設技術者と対等に話ができません。この二つができたうえで空間デザインを行います。あなたが描いたスケッチがそのとおりに実現するはずです。

ランドスケープ・プランニング・プログラムの概要

  • 教員:特任教授1,助教1,アドバイザリー委員数名
  • 学生定員:3名
  • 設置場所:南信州・飯田サテライトキャンパス(エス・バード内)
  • 修士課程学生に対して教育研究指導を実施

ランドスケープ・プランニング・プログラムの修了要件

  • 修士課程に原則2年以上在学し,下記のとおり30単位以上を修得すること。
  • 研究科共通科目「研究者倫理特別講義」2単位,専攻共通科目「食と緑の科学特論」2単位,ランドスケープ・プランニング・プログラムから22単位, 環境共生学分野から「環境共生学特別演習」2単位,生物資源科学分野「生物・食資源生産学特論」, 環境共生学分野から「環境共生学特論」いずれか2単位,計30単位以上を修得する。
  • 必要な研究指導を受けた上,特定の課題についての研究の成果の審査及び最終試験に合格すること。
  • 特定の課題についての研究の成果を提出する場合は,作品のほか,特定課題研究成果報告書,作品のデータ資料を提出すること。

ランドスケープ・プランニング・プログラムの人材供給イメージ

人材供給イメージ(高橋再作成)画像.JPG

ランドスケープ・プランニング・プログラムの授業科目一覧

科目区分 授業科目 必修
選択
単位数 配当
年次
授業概要
研究科共通科目 研究者倫理特別講義 必修 2 1・2 研究者倫理に関する専門家による集中講義を行うとともに,対象学生を分野横断的グループに配置したグループディスカッションの実施により,研究者・技術者としてのあるべき倫理的行為,してはならない不正行為について理解の深化を図ります。
専攻共通科目 食と緑の科学特論 必修 2 1 農学専攻の各学問分野の教育・研究内容を理解し,現代社会における諸課題に対して,「食と緑の科学」が果たすべき役割について議論できることをねらいとします。
生物資源科学分野共通 生物・食資源生産学特論 選択 2 1 生物資源利用に関わる社会にニーズは多岐にわたることから,ここでは我々の食生活あるいは環境要因として深く生活に関わっている家畜・家禽や果樹・野菜・作物などの動・植物を通じて生物および生物現象について,多角的な視点で概説します。
環境共生学分野共通 環境共生学特論 選択 2 1 環境共生を探求する上で必要とされる要素として,造林・緑化等の植生制御,防災および減災のための山岳域国土基盤整備,中山間域における農業生産基盤整備と維持,経済学的視点からの農林業経営・資源管理,居住環境・景観形成および保全の5つを取り上げ,環境共生社会をめざした理論や実践的な技術のあり方について双方的な議論を行い考究します。
環境共生学特別演習 必修 2 1 特定の課題の研究計画および進捗状況について発表と討論を行います。これを通して,研究の正しい価値観と,研究企画力,研究推進力,調査力,プレゼンテ-ション能力,討論能力等を備えた研究者を育てるための教育を実施します。
ランドスケープ・プランニング・プログラム ランドスケープデザイン特論 必修 2 1 地域環境と生物多様性を踏まえた設計ができる専門家を目指し,生態系とエンジニアリングとデザインの三要素をフルに活用して空間を計画設計する基礎的なデザイン手法を学びます。
ランドスケープ特別演習Ⅰ 必修 2 1 特別実験実習とランドスケープデザイン特論で習得した理論と技術を踏まえて演習サイト①②にて各7週間で計画・設計を行い発表します。
ランドスケープ特別演習Ⅱ 必修 2 2 特別演習Ⅰで習得した計画・設計をさらに発展させサイト③④にて各7週間で計画・設計を行い発表します。
信州ランドスケープ特論 必修 2 1 アドバイザリー委員会のゲストスピーカーの講義として実施します。
ランドスケープ特別実験実習 必修 2 1 プレゼンテーションの基礎となる素描,画像処理,CAD,GISなどの基本的な技術を習得します。
Advanced Study for landscape planning 必修 2 1・2 講義と演習を組み合わせて行い,ディスカッションやプレゼンテーションも含みます。これら多彩な授業形式を通じて,環境共生学の専門知識を受け身の授業だけでなく,主体的に学び,各自の研究課題を山岳・森林域から農山村・居住域に至る自然環境と人との共生関係を科学的,総合的な解決という命題の中でどのように意義づけるのかについての認識を深められるようにします。
特別研究 必修 10 2 個人で,特定の計画・目的に基づいた研究・制作を行います。テーマと目ざすべきゴールの設定,分析,コンセプトの立案,計画・設計展開,発表方法,社会貢献など総合的な提案を行います。1・2年連続して研究を行います。1年生で中間発表1回,2年生で中間発表1回と最終発表1回とします。A1パネル8枚以上。