信州大学

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講義

2010年11月04日
■GCOE■国際特別講演会開催のお知らせ
(国際若手拠点共催) 
講師:早稲田大学バイオサイエンスシンガポール研究所(WABIOS)主任研究員/
早稲田大学 総合研究機構 准教授 酒井宏水先生 
開催日:2010年11月22日

グローバルCOEでは、早稲田大学バイオサイエンスシンガポール研究所(WABIOS)主任研究員/
早稲田大学 総合研究機構 准教授の酒井宏水先生をお招きし、国際特別講演会を下記のとおり開催いたします。

酒井宏水先生は人工赤血球の開発者であり、材料化学分野でのご活躍のみならず、
化学、生物、医学を含む医工学分野の第一人者と言える方です。
大勢の皆様のご参加をお願い致します。

 講師:早稲田大学バイオサイエンスシンガポール研究所(WABIOS)主任研究員
     早稲田大学 総合研究機構 准教授
     酒井宏水先生

 演題 :人工赤血球(ヘモグロビン小胞体)の開発状況

 日時 :11月22日(月) 15時30分〜16時30分

 場所 :繊維学部 講義棟31番講義室

講演要旨 : 日本の献血・輸血システムは世界最高水準にあり、現行の医療に不可欠であることは論を俟たない。しかし、緊急時や大規模災害時の救命医療においては、血液型検査、感染の可能性、短い保存期限などが、危機管理体制の不安要素となりうる。人工赤血球が実現すればその解決が期待できる。生体高分子を取扱う分子集合科学、配位錯体化学、バイオコンジュゲーション、ナノテクノロジーを基に、医薬工連携の動物試験を経て、漸く候補となる人工赤血球が特定されてきた1)。

酸素を可逆的に結合するヘモグロビン(Hb)を利用した化学修飾Hb(分子内・分子間架橋、PEG結合)の開発が北米で先行したが、NO捕捉による血管収縮や心筋梗塞など、副作用が相次いだ。赤血球構造の生理的意義を考えれば当然の結果であり、対して、リン脂質小胞体(リポソーム)に高濃度Hbを内包したHb小胞体(250 nm)は、Hbの副作用を回避できる。Hb小胞体の特徴は2)、’処理高純度Hbを用い感染源なし・血液型なし、⇔鎧夘縮未PEG修飾と脱酸素化により2年間の備蓄が可能、細胞型構造と最適粒子径によりNO, COとの反応を抑制3,4)、し贖層に均一に分散して流動し、赤血球が通過出来ない狭窄血管なども通過できる、ネイ譴新豈嫖合性、RESに捕捉され分解・排泄される5)、など。効能評価項目としては、出血性ショックに対する投与では赤血球輸血と同等の蘇生効果を示す6)、代用血漿剤(水溶性高分子)の併用により膠質浸透圧とレオロジーの調節ができる7)、┘▲蹈好謄螢奪因子を調節してヒト血液よりもP50値を小さくすると、低酸素領域に酸素を効率良く運ぶ8)、他方、CO結合Hb小胞体の投与では、COの徐放により細胞保護効果を示す9)、などである。

人工赤血球は感染源を含まず、血液型が無く、長期間備蓄でき、何時でも何処でも使えるので、輸血治療を補完する技術として期待されている。更に、脆弱な赤血球と比べ化学的に安定で、物性値の調節や機能分子の導入が可能なので、輸血では対応のできない疾患の治療や外科的治療への可能性も検討されている。

参考文献: 1) Bioconju Chem 2009; 20: 1419-40, 2) Methods Enzymol 2009; 465: 363-84, 3) J Biol Chem 2008; 283: 1508-17, 4) Am J Physiol Heart Circ Physiol 2010; 298: H956-65, 5) J Control Release 2009; 136: 232-9, 6) Shock 2009; 31: 192-200, 7) Biomacromolecules 2009; 10: 2344-50, 8) Am J Physiol Heart Circ Physiol 2009; 297: H905-10, 9) Shock 2009; 31: 507-14.

HP:http://www.waseda.jp/WABIOS/CV/Sakai-summary.pdf


開催日 2010.11.22
開催時間 15:30〜16:30