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水野美知子
(故水野知昭教授夫人)

一昨年秋に主人が急逝して1年5ヵ月が過ぎました。その間に研究室から戻ってきた書籍と、自宅で使用していたものを併せると、私共にはたいへんな数の本が残されることになりました。

主人が約三十年間に国内外で集めた書籍は、専門の北欧神話・古英詩、またそれらとの主な比較研究の対象であった日本民俗学関係だけに留まりませんでした。その広がりは、さまざまな比較領域から事例を見つけ出す探究心と論文執筆意欲ゆえと思われます。

見返しの遊びに記された購入の日付・書店名などを目にすると、その当時が懐かしく思い出されます。タイミングよく本を手に入れた時はことのほか嬉しそうで、それをインスピレーションの源として持論を展開して、また次の研究へとつなげてゆき、多くの論文を残しました。

以来、私共だけで所有して死蔵、散逸しかねない主人の蔵書を、然るべき公的な場所で「生きた本」として活用できないものかと模索しておりました。また「一生懸命に収集したこれらのまとまった専門書が研究者に利用されれば、その研究もさらに展開してゆくのでは」との思いもありました。

そのような折昨年10月に、幸いにもその全てが、信州大学附属図書館に「水野コレクション」として移管・保存されました。主人が研究生活を続けたこの松本の地、信州大学に蔵書を残すことができとても嬉しく思います。

研究半ばではありましたが、主人の思いも込めて、後継者が育つことを願いつつ、このコレクションが専門家だけではなく、国内外からより多くの人々に検索・利用されることを期待いたします。

2007年3月

水野コレクション 蔵書印・船