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ジャーナルの質を判断するために(情報提供)

昨今、新しく創刊されたジャーナルが増えていますが、残念ながらそれらの中には、査読や編集にかかわる体制が不十分と疑わざるを得ないものも一定数存在します。
ここでは、投稿先を選択する際に役立つ、ジャーナルの質を判断するための情報をご紹介します。

1. Journal Impact Factor ほか引用に基づく評価指標

Journal Impact Factor(JIF)は、あるジャーナルに掲載された論文の、2年間(または5年間)の被引用数の平均により算出され、ジャーナルの影響力の指標として使われています。
正式に認められたJIFは、Clarivate社が算出し、Journal Citation Reports(JCR)に掲載されているものです。JCRにアクセスして、ジャーナル名やISSNで検索することにより、調べることができます。
数値は、同社のデータベースWeb of Science内の被引用数に基づいて計算されますので、JIFを持つジャーナルは、Web of Scienceに採録されているタイトルに限られます。

また、同様の指標として、Elsevier社が算出しているCiteScoreがあります。これは同社のデータベースScopusでの被引用数に基づいて計算されています。Scopusの採録対象は、Web of Scienceとは異なりますが、やはりElsevier社が雑誌の質を判断した上で選ばれています。

このように、JIFやCiteScoreを持つということは、その雑誌が一定の評価を得ているという判断の、一つの材料となり得ます。

ただしジャーナルの中には、JCRに基づかない独自の方法で算出した数値を、ウェブサイトに「Impact Factor」等と称して掲載しているものがあります。こうした数値は、他のジャーナルとの比較には使用できず、雑誌の評価指標として有用とは言えません。

JIFは、ジャーナルのウェブサイトだけではなく、必ずJCRで、最新の数値を確認するようにしてください。

2. Directory of Open Access Journals(DOAJ)への採録

DOAJは、世界のオープンアクセスジャーナルを一覧できるウェブサイトです。すべてのオープンアクセスジャーナルが収録されるわけではなく、申請があったうち、編集や査読等に関わる透明性などの基準を満たしたものだけが収録されます。したがって、ここに収録されたジャーナルについては、最低限の質は備えているものと考えられ、そうでないジャーナルに比べて信頼できると判断して良いでしょう。

なお、ジャーナルは似たタイトルのものが多数ありますので、お探しの雑誌がどれなのかを十分に注意して確認してください。雑誌名を"(ダブルクォーテーション)ではさむか、ISSNで検索するほうが確実です。

3. 発行元や編集委員会(Editorial Board)のメンバー

創刊前や直後など、ごく新しい雑誌では、質に関わらず、JIFの付与やDOAJへの採録がなされていません。
このような場合には、発行元がどういった組織であるか、また、編集委員会にどのような研究者が参加しているのかが、ある程度の参考材料となります。発行元に学術誌発行の実績が乏しかったり、編集委員会に十分な業績のある研究者がいないなどの場合は、注意が必要かもしれません。

4. "Think. Check. Submit."

ジャーナルを見極めるためのツールとして、「Think. Check. Submit.」というチェックリストがあります。日本語版は2023年に発表されました。上述の内容も含めた、ジャーナルを判断するためのさまざまな観点が紹介されていますので、ぜひご活用ください。

参考:分析Topics -ハゲタカジャーナルに注意!-(熊本大学URA推進室) https://poie.kumamoto-u.ac.jp/URA-web/tool/predatory%20journal.htm (2024年2月19日閲覧)

お問い合わせ先:附属図書館情報システム・学術資料(雑誌)グループ(内線811-2302・zasshi@shinshu-u.ac.jp)

履歴
2018年2月28日 医学部図書館ウェブサイトで公開
2018年9月19日 加筆修正
2024年2月19日 加筆修正のうえ附属図書館ウェブサイトで公開