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2019年度後期の経済規制の実務において河野 琢次郎 先生(公正取引委員会官房総務課 企画官)の講義が行われました

2019年度後期の経済規制の実務において河野 琢次郎 先生(公正取引委員会官房総務課 企画官)の講義が行われました

2019. 11.25

  • 経済規制の実務

 2019年11月25日、実践教育科目「経済規制の実務」の一環で、公正取引委員会官房総務課の河野琢次郎企画官による『独占禁止法教室』を開講しました。講義では、河野企画官から、JASRAC事件についての概要と、競争政策上の問題点について、解説がありました。JASRAC事件は、テレビなどで使われる楽曲の著作権料徴収をめぐって、日本音楽著作権協会(JASRAC)が放送事業者と結んでいる契約方法を巡り、独占禁止法違反(私的独占)に当たるか否かが争点となったものです。
 この講義の目的は、教科書上の議論を、現実の事例に落とし込んで、学生自身が考え、議論する機会を設けることです。学部で提供されている経済学の講義では、規制・制度の役割・機能について、経済学の観点から解説を行います。しかし、講義で学んだ知識は、現実の事例にあてはめて、具体的に問題を検討してみないと、なかなか有効に活用できません。そこで、卒業して社会人となったとき、経済学の知見を活かして様々な問題を解決できるよう、自ら考える練習の場を設けたものです。
 講義で取り上げる対象は、主に独占禁止法であり、現実の競争政策について、主にゲーム理論や産業組織論などミクロ経済学分野の分析技術を応用して検討を行います。独占禁止法に基づく競争政策は、法律と経済学の融合領域の代表的な分野です。公正取引委員会による現実の競争政策の事例を、経済学の知見を活用して考えることは、経済学の現実的な有用性を確認できる格好の機会と言えます。規制当局である公正取引委員会の担当者も、経済学に精通していることから、経済学を学ぶ学生に、経済学の視点を踏まえた現場の声を伝えてもらうために、今回の「独占禁止法教室」を企画しました。

 令和元年度の授業で取り上げるJASRAC事件の場合、経済学の観点からの特徴は、"両面市場"と呼ばれる市場構造です。"両面市場"とは、直接的な契約関係にない者同士が、取引の「場」(いわゆる、プラットフォーム)を介して連結される構造を言います。JASRACの場合、音楽著作権を保有する著作権者と、著作権の対象となる楽曲を使用する使用者との間に入り、著作権者に代わって、使用者から著作権の使用料を徴収する業務を行っています。JASRACは、テレビやラジオといった放送事業者から、放送で使用した楽曲の使用料を徴収する場合、楽曲の使用料とは無関係に、放送事業収入の1.5%を支払う包括徴収という契約を採っています。この契約形態が、新規参入を妨げ、競争を阻害しているという点が、この事件の主な論点です。
 河野企画官からは、JASRACが、著作権者から著作権の管理を請け負う市場で独占的な立場に立っていることなどの現状認識について説明があった上で、どのような切り口でこの事件を分析すべきか、検討材料を提供して頂きました。
 今回の河野企画官からの助言を基に、2020年1月27日(月)には、JASRAC事件に関する受講生の検討結果を報告する報告会を開催します。報告会では、河野企画官と、産業組織論や競争政策の研究者である大阪大学の松島法明教授がコメンテーターとなり、活発な議論が行われることが期待されます。

 なお、平成30年度の授業で取り上げた事件は、平成16年第2号審決「東日本電信電話(株)に対する件」 です。この事件は、光ファイバ設備を用いた通信サービスの提供において、NTT東日本が戸建て住宅向けサービスの分野で、消費者向け接続料金を引き下げることで新規参入を実質的に制限し、私的独占に該当すると認定したものです。講義での検討を通じて、"市場確定"の観点から、当時のブロードバンドサービスの市場のあり方、競合するライバルが存在する可能性などを整理していく中で、受講生は、公正取引委員会の審決および東京高裁の判決の妥当性に疑問を抱くようになっていきました。

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