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山下 奉丈 先生(アトリオン製菓株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

山下 奉丈 先生(アトリオン製菓株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

2023. 10.11

  • 経営者と企業

 2023年10月11日、2023年度「経営者と企業」第2回の講義として、アトリオン製菓株式会社 代表取締役社長 山下 奉丈氏から「経営移行から5ヶ月の実録と展望」と題して講義が行われました。

 アトリオン製菓株式会社は、1945年に新興産業株式会社として創業、以来一貫して明治グループの菓子生産を担ってきましたが、2023年5月に丸紅株式会社の完全子会社となりアトリオン製菓に改称、新たなスタートを切りました。
 それまで、明治からの受託製造だった商品が、商標権が移管されたことにより独自の商品として製造販売できるようになったことに加え、自由に製品の開発も可能になったことで従業員の意識が向上した一方、「明治」という安定基盤を失いつつも今までと同じように商品を販売していく必要があり、明治グループからの独立は多方面において変革をもたらしました。
 売上金額ベースの50%を占める旧明治品のロングセラー菓子「ヨーグレット」や「ハイレモン」、明治産業時代から独自に製造販売してきたキャンディーの「パチパチパニック」を3つの看板商品として掲げ、今後は店頭販売のみならず、SNSを活用した需要の拡大にも意欲的に取り組むなど、新商品の開発や販売網の拡大が期待されます。

 山下氏は、経営移行からの5ヶ月を振り返るキーワードをいくつか挙げ、新社名の由来や40年以上の歴史をほこる人気商品継承にともなう戦略と今後に向けた課題、丸紅グループの一員となったことによる社内の意識改革や社内・消費者コミュニケーションについてなど、多角的にお話しいただきました。
 商品面では、受託製造してきた商品を自社のブランドとして持つことは、非常に強みであるが課題も多いと述べられました。常に売り場に置かれ、伸びしろがあまりないこと、「懐かしいお菓子」で止まっている人が多いため、定期的に食べてもらえるように、近年市場規模が拡大しているグミなどに横展開していくことを考えているものの、老舗の菓子であるため大展開はできないというジレンマについても語られました。

 今後の成長に向けては、次世代の人材強化を図ることが不可欠だとして、「これからは消費者ひとりひとりの生活を見ていかなければ、新しい商品は生まれない。営業担当以外の社員にも積極的に外の世界を見て、何かしら感じてもらいたいと思っている。刺激を受けることで、今までの「明治流ルール」を引き継ぎつつ、アトリオン製菓としての新しい考えや発想を取り入れ、次世代人材が活躍してくれることを期待したい」と強調されました。

 山下氏は社長に就任してからの期間を振り返り、「毎日があっという間に過ぎていくが、忙しく大変な時こそ一回、立ち返ることが大事。社長として、従業員より目線を高くし、重心は低く、どしんと構えていきたい。経営移行という課題に直面し日々奮闘しているが、本日の講義をみなさんの学びに変えていただき、今後の当社に関心を持ってほしい」と学生に呼びかけました。

 講義では、たびたび学生に質問を投げかけ、学生も積極的に自分の考えや意見、アイデアを発表するなど、終始活気あふれたものとなり、大変充実した講義となりました。

  • アトリオン製菓(株) 代表取締役社長 山下奉丈氏
  • 講義風景

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