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中谷 冨美子 先生(中谷商事株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

中谷 冨美子 先生(中谷商事株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

2022. 11.09

  • 経営者と企業

 2022年11月9日、2022年度「経営者と企業」第4回の講義として、中谷商事株式会社 代表取締役社長 中谷 冨美子氏から「映画館の役目」と題して講義が行われました。

 2006年に長野県初のシネマコンプレックス(シネコン:同一の施設に複数のスクリーンがある大規模映画館)「長野グランドシネマズ」をオープンした中谷商事株式会社は、戦後から長野県の映画産業に携わってきた老舗の興行会社です。
 1950年に中谷氏の祖父が「吉田映画劇場」として長野市で映画館を始めて以後、長きにわたって映画で多くの人々を楽しませてきたことから、シネコンとしては珍しく郊外型でなく、街の中心市街地に位置しています。さらに、「地方と言えども世界と同時公開ができる」こと、「時間・空間・感動の共有ができる場所の提供」が、シネコン設立の目的であったと、創業からの経緯についてお話しいただきました。

 映画館の年間入場者数は1958年の11億人超をピークに、1960年からのテレビのカラー放送の始まりで大きく減少し始めます。その後の1963年~1975年まで窓口料金はほぼ毎年値上がりしていきますが、その間入場税の大幅な改定も行われてきたことを説明いただきました。1970年には映画館入場者数は2億人を切りますが、そうした経営環境のもとで業界がどのように再編されていったか説明いただきました。
 最近では、新型コロナウィルス感染症で大きな打撃を受けましたが、ここ数年は「ライブビューイング」の上映が盛んとなり、かなりの収益にもつながることから積極的に売り込んでいること、入場税や映画館関連組織、映画の著作権など普通では知ることのできない映画業界の裏側や歴史・仕組み等について解説いただきました。
 
 2000年代に入り、映画はフィルムからデジタルへと大きく変貌します。フィルムは上映初日と最終日では劣化によって映像に変化があったこと、フィルムをつなげる作業の煩雑さ、フィルムの運搬にかかる多額の輸送費の発生等、多くのデメリットがありました。今後、ますます進むデジタル化には、さらなる設備投資の必要性が予想されます。最近では、オリジナルの映写システムを導入するところが多く、映画館でなくては観ることができないクオリティを目指し、この産業での生き残りと成功をかけて独自の工夫をこらした自主運営に尽力されています。その甲斐あって、2020年には「オリコン顧客満足度 映画館 甲信越・北陸 第1位」の獲得につながりました。

 2026年に20周年を迎える長野グランドシネマズは、長野県を代表するシネコンとなりました。これからも「長野の顔」となり、多くの人々を笑顔にしてくれることが期待されます。

  • 中谷商事(株) 代表取締役社長 中谷冨美子氏
  • 講義風景

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