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西澤 仁志 先生(株式会社長野銀行 代表取締役頭取) の講義が行われました

西澤 仁志 先生(株式会社長野銀行 代表取締役頭取) の講義が行われました

2021. 11.24

  • 経営者と企業

 2021年11月24日、2021年度「経営者と企業」第5回の講義として、株式会社長野銀行 代表取締役頭取 西澤 仁志氏から「地域金融機関の現状と課題 ~長野県のマザーバンクを目指して~」と題して講義が行われました。

 西澤氏は、大学卒業後に日本興業銀行(現みずほ銀行)へ入行され、海外(シンガポール支店)を含む国内外の多部署において要職を経たのち、2014年から長野銀行へ移籍されました。同行においても、証券国際部長や常務取締役等の重責を担われたのち、2019年に代表取締役頭取に就任、現在に至っておられます。

 同行の前身である「長野県商工信用組合」が設立された1950年頃は、戦後復興のため資金不足の状況下にあり、大企業へ資金が優先的に向けられ、中小企業にはなかなかお金がまわりにくい時代でした。そのため、地域のため、中小企業のために、県内の商工会議所の要請を受けてつくられたのが創業の始まりだったと、同行の沿革についてお話しいただきました。
 海外や首都圏、隣接県に店舗を構える金融機関が多い中、同行は県内52か店を中心に、中小企業と個人のお客さまに寄り添い、必要とされ選ばれる銀行「長野県のマザーバンク」の実現を目指して地域密着の営業を展開されており、2020年11月には創業70周年を迎えました。

 同行をはじめとする地域金融機関は、地域と運命共同体的な関係にあり、地域住民等のニーズに応ずる金融機関として位置づけられているとして、「多様な業種・個人を相手にしているのが強みであり、過去の数字ばかりにとらわれることなく、経歴や人となりから将来を予測し、見極めることが大事。日本企業の99%以上が中小企業であり、地域金融機関は売り上げ規模に関わらず、メインバンクになる役割を担っている。都市銀行が動脈・静脈なら、地域金融機関は各組織を巡り巡っている毛細血管のような存在」と説明されました。

 これらをふまえ、地域金融機関の今後の課題として、①コロナからの回復、②低金利の長期化、③人口減少と高齢化の加速、④デジタル化を挙げられ、各項目についての同行の取り組みを具体的にお話しいただきました。
 新型コロナウィルスによる経済の落ち込みは、対面型サービス業(飲食業やホテル・旅館等)、卸小売業を中心に多大なインパクトを与え、地域経済の活力低下が懸念されます。同行では、2020年6月「ながぎん事業支援チーム」を設置。取引先の現況や課題に対し、外部機関と連携しながらコンサルティング支援を実施しており、今後も継続していくことをベースとして取り組まれています。
 さらに中小企業の経営支援に関する体制を整え、本部や営業店、外部機関等と連携をはかって各種提携支援を順次拡大。それぞれの業種やポジション、お客さまのニーズに合った提案やサービスの提供は、従業員の幸福度・地域への貢献度にも大きく関与しています。

 西澤氏は、「これからの銀行は、預金融資という従来の銀行業務以外のところにも軸足を向けて強くしていく必要があり、そうした業務からも収益を出していくことが求められる。我々には「お客さまをよく知っている」、「いろいろな業種と関わることで全体のネットワークが広い」、「金融機関のもつ信用力がある」という強みがある。県内の経済が元気になれば、それは自分たちに返ってくる。今後も地域内外の提携先と手を組み、継続して様々なことに取り組んでいきたい」との方針を語りました。
 長野県を代表する地域金融機関として、地域貢献・地域経済の活性化に向けた取り組みは、今後ますます高まっていくものと思われます。

 講義終了後には多くの学生から質問が相次ぎ、当講義への積極的な姿勢がうかがえました。西澤氏には、ひとつひとつの質問や意見に対して丁寧にお答えいただき、学生にとって大変有意義なものとなりました。

  • (株)長野銀行 代表取締役頭取 西澤仁志氏
  • 講義風景

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