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百瀬 真希 先生(株式会社みやま 代表取締役社長) の講義が行われました

百瀬 真希 先生(株式会社みやま 代表取締役社長) の講義が行われました

2021. 11.10

  • 経営者と企業

 2021年11月10日、2021年度「経営者と企業」第3回の講義として、株式会社みやま 代表取締役社長 百瀬 真希氏から「愛される人になり、愛される製品をつくり、愛される企業となる」と題して講義が行われました。

 株式会社みやまは、プラスチック成形加工の専門メーカーとして創業以来70年以上、常に先進技術の研究・開発に努め、お客様のニーズに対応しています。
 特に力を入れて取り組んでいるのがPPS樹脂の射出成形で、日本でトップシェアを誇っています。PPS(ポリフェニレンスルファイド樹脂)とは、金属並みの強度でありながら熱に強く、軽い素材で金属の代替材料として注目されており、金属の部品をPPSに置き換えることで多くのメリットがあり、今後もさらなる技術の確立が期待されます。
 同社では、PPSという名前が広く浸透する以前の1995年からPPS樹脂成形を開始。【「世界中のどこに行ってもPPSという材料名が出た時に日本にみやまがある!」と、言われる企業になる】という目標を掲げ、長きに渡って蓄積された知識と経験を活かし、高度な技術力であらゆる需要に対応しています。

 今では日本のPPS成形技術を代表する企業に成長した同社ですが、スタートは取引先の企業からPPS材料成形に関する相談を受け、取り組まれたのがきっかけだったと振りかえられ、当時の状況についてお話しいただきました。
 百瀬氏は、「PPSは素材の扱いが難しく、成形しても収縮によって金型とは全く別の形状で成形されるなど、加工は容易ではなかった。一般的な金型の常識が通じず、何度も試行錯誤を繰り返し挑戦した結果、多くの失敗はあったものの、それらの経験とノウハウは会社の強みとなり、後にPPS材料成形の案件受注につながった。これがビジョン策定のきっかけとなり、PPSに邁進した結果、2007年6月には「日本で一番この材料を作る企業」に成長し収益アップにもつながったと、当時の苦労や成功までの熱い思いを語りました。
 また、2008年に代表取締役社長に就任された際、あいさつ回りに行かれた先々で「社長になるとやれることはたくさんあるが、やっていいことは少ない。やっていいことをやりなさい」と声をかけられたとし、当時はよく理解できなかったが10年がたって、この言葉を実感できるようになったと、自らの思いをお話しされました。

 それをふまえ、百瀬氏が考えるこれからの「みやまのあるべき姿」として、①世の中に必要とされる企業である、②従業員一人一人が輝ける企業である、③経営者と従業員が信頼関係をもって働ける企業である、の3つを柱とする考えを示され、企業価値向上に向けた人財の育成やプロセスの変革に向けた目標や取り組みについて、具体的にお話しいただきました。
 
 同社は環境活動への取り組みも大変盛んで、5Sの活動推進は品質の向上につながり、個々の改善への意識も高まりました。活動例として、汚れた天井や壁・手すりのペンキ塗り、床の張り替え等、社員全員で取り組んだ結果、工場見学受け入れや、異業種交流会での意見交換、改善研修会での事例発表など、新たな取り組みにつながりました。また、経営にSDGsを組み込み、さまざまな手段で社員へ意識の浸透を図っています。
 早期から積極的に環境問題に取り組まれた結果、2021年に「環境コミュニケーション大賞」の優秀賞を受賞、次年度に向けて大きな励みとなりました。

 上場企業に就職した百瀬氏が、社長だった父から会社を引き継ぎ、自らが代表取締役社長として経営を担ってこられるまでには、相当の苦労や苦い経験があったと講義冒頭でお話しされました。
 「会社をやる」ということは「誰かの人生を預かることで、人生を変えることにもなりうる」という気付きから、「生きていく目的、会社の中に人と人とがつながり、やさしさが溢れる企業を作ろう、みやまに入って良かったと思われるような会社を作ろう」とスイッチが入ったと、当時の真情を吐露されました。
 百瀬氏の語りは、これから社会へ出て企業人となる学生の心に熱く響くものとなりました。

  • (株)みやま 代表取締役社長 百瀬真希氏
  • 講義風景

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