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山崎 晋 先生(アスリートFA株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

山崎 晋 先生(アスリートFA株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

2021. 12.08

  • 経営者と企業

 2021年12月8日、2021年度「経営者と企業」第7回の講義として、アスリートFA株式会社 代表取締役社長 山崎 晋氏から「相手の立場に立ったものづくり」と題して講義が行われました。

 アスリートFA株式会社はFA装置(自動化設備装置)を製作する専門企業として1988年に設立、半導体製造装置や工場自動化装置の開発・設計・製造・販売を一貫して手掛け、お客様のニーズに合わせた最先端のFA技術を提供、FA化に貢献されています。
 創業当初はカメラレンズ組立機から始まり、現在では半導体の製造関係の各種装置や、高精度高品質の組立システムを主力としており、特に半導体業界において存在感を高めています。

 私たちの周りにはパソコンや携帯電話、自動車など半導体を使った製品が数多くあり、この半導体を使って発明されたIC(集積回路)により、私たちの生活は大きく飛躍しました。半導体技術の進化のスピードは目覚ましく、お客様からの要望も高度になり、難易度も高まるなか、同社ではいろいろな要素技術を組み合わせ、ニーズに合った製品を完成させています。
 そして、同社の技術を使った製品を何点か御紹介いただき、主力製品のひとつである「ハンダボール」をウェーハー上に搭載するための装置である「マイクロボールマウンタ」等を取り上げ、一連の作業工程がよくわかる動画で詳しく製品の説明をしていただきました。いずれも、かなり高性能な装置で、近年は中国や台湾市場を中心に、マイクロボールマウンタでは高い世界市場シェアを獲得しています。
 山崎氏は、「日本は世界シェアを誇れる技術をたくさん持っており、後工程の装置に関しても強い。最初、半導体の市場はパソコンのみだったが、今後はIoTや5G、AI等の市場で拡大・成長を続ける産業になるだろう。今、一番の注目は自動車分野で、これからは「走るパソコン」のような自動車が出回るのではないか」とお話しされました。

 ただ、新型コロナ禍により生活様式が一変したこと、米中貿易摩擦の影響などで半導体不足となり、加えて部材や購入部品(モーターやセンサ等)の供給に遅れが生じ、生産設備の納期遅延が問題となっています。山崎氏は、「当社の装置で製造した半導体も設備が整わず、お客様に対して希望通りの納期に製品を納めることができないのが、現在の大きな悩み。今後の状況がなかなか見通せず、失注案件が出ており、今は悪循環な流れとなっている」と、半導体市場を取り巻く現況への思いを吐露されました。
 同社は2003年、今後の伸びが期待できるとして中国へ進出、上海に現地法人を立ち上げましたが、近年はコストの高騰や人材確保の難しさから現地生産は撤退し、営業・サービス拠点に転換してビジネスを継続しています。山崎氏は上海に赴任されていた当時を振り返り、「中国は人とのつながりがとても重要視され、人脈を作ることでビジネスも優位になり、仕事も増えた。いったん仲良くなると力強い味方になると強く感じた。経済成長率は右肩上がりで、GDPも日本を抜いて2位、国際特許出願件数も1位になるなど、技術的な面でも一気に伸びており、日本を含む海外メーカーにとって脅威な存在。今後も中国に対しては、注視していく必要がある」と、中国ビジネスについての見解を述べられました。

 本日の講義テーマである「相手の立場に立ったものづくり」について山崎氏は、「仕入れた情報はもちろん、見えない情報からも相手が何を求めているのか、相手の立場に立って製品をつくることが私たちの使命である。社内においても、各部署の全社員が次工程に対して何をするべきか、考えて行動することが大事。何もないゼロの状態から、いろいろな人が関わって製品が出来上がる。お客さまはもちろん、社員同士でも相手の立場に立った取り組みが必要」と述べ、同社の経営理念や経営方針、社名に込めた決意等、御説明いただきました。

 山崎氏は、「当社は諏訪市の山の中にある小さな会社だが、スマートフォンなど皆さんの身近にある製品に関わるものを数多く作っている。スマホやパソコンを手にした時に、当社の製品が使用されていると思ってもらえたら、製造に携わる者として非常にうれしい」と話し、講義を締めくくられました。

  • アスリートFA(株) 代表取締役社長 山崎晋氏
  • 講義風景

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