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渡部 晶 先生(財務省大臣官房政策立案総括審議官)の講義が行われました

渡部 晶 先生(財務省大臣官房政策立案総括審議官)の講義が行われました

2023. 05.10

  • 現代産業論

 2023年5月10日、2023年度「現代産業論」第2回の講義として、財務省大臣官房政策立案総括審議官 渡部 晶氏から「地域の活性化と組織の自立・連携」と題して講義が行われました。

 講義では、まず、「日本らしいスポーツホスピタリティ」を取り入れたスポーツ・健康まちづくりの全国展開の加速化に向け、関係省庁で構成される「スポーツ・健康まちづくり推進部会」において、これから取り組みたい事項として、どのようなことが検討され、どのような施策があるかなどについてお話しいただきました。
 また、参考事例として、政令市の中でも力がありコミュニティ政策が盛んな福岡市のスポーツ振興計画や、地域振興のためにプロバスケットボールチームに政府系金融機関が出資した沖縄県の例などについて、具体的に解説いただきました。

 加速化する人口減少や高齢化、中小企業等の後継者不足の問題などをどうやって解決していくかは大きな課題ですが、こうした課題に関しては、「低密度居住地域や無居住地区(空き家)の問題、少子多死社会をどう生きるかといった課題は、地方だけの問題ではない。地域政策の今後の課題は、地域企業や農林水産業の生産性の向上、地域の競争力、イノベーション力の強化にある。今までのように都市部で稼いだものをバラまくのは限界で、地域自ら稼ぐことが大事。次のステージに進む段階に来ている。」と述べられました。
 また、地域経済は大きく分けると、①地域外を大きな市場とする「域外市場産業(製造業、農業、観光)、②地域内を主な市場とする「域内市場産業(日用品小売業、対個人サービス業)」に分けて考えることができるとした上で、「域外から資金を流入させる『域外市場産業』は、地域産業の心臓部とも言え、域外から資金を稼いでくる産業の集積を促進し、競争力を強化することが重要である」など、地域経済の構造について詳しく解説されました。

 長野県は全47都道府県幸福度ランキングで総合5位(2022年版)、さらに体育・スポーツ施設数や高齢者有業率は1位と、全国トップクラスに位置しています。これらを踏まえ、「長野オリンピック・レガシーは今後も重要であり、スポーツによるまちづくりを本格始動させるとともに、豊かな自然環境を活かして生物多様性『30by30』(2030年までに陸と海の30%以上を自然環境エリアとして保全する目標)などにも取組んでほしい。また、観光業は成長戦略の柱であり、地域活性化の切り札となる。快適な都市間交通を維持しながら、特色ある各都市を維持する努力を続けることが大事。」と総括されました。

 渡部氏は大蔵省入省後、福岡市総務企画局長や沖縄振興開発金融公庫副理事長などを務められたほか、いわき応援大使として、いわき市(福島県)の魅力を全国へ発信するなど、様々な形で地域の活性化等の取組みに携わってこられました。講義では、こうした経験を踏まえ、豊富で具体的な事例に即してお話をいただき、学生にとっても、大変分かりやすく、また、興味を引く講義となりました。

  • 財務省大臣官房政策立案総括審議官 渡部晶氏
  • 講義風景

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