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学生とのフィールド活動

地域文化史分野笹本ゼミのゼミ旅行に行ってきました(2)

7 日の早朝、私は唐津神社から石垣の散歩道、西の浜松原、時の太鼓を経て、唐津城へ行ってきました。実は私は信州大学を卒業した年、長野県の教員に採用さ れ、阿南高校の教員になりました。その時に女子ボート部の監督として唐津に引率してきたのです。いわば、教員生活のスタートにかかわる思い出の地なので す。こうして学生さんと再びこの地に来て、教員として本当に成長できたのか、城跡を歩きながら色々考えました。

9時にホテルを出発し、長崎県南島原市にある島原の乱で有名な原城跡へ向かいました。その間にいくつかのポイントで宮武さんが、心に残る教育をして下さいました。土地の生産力、土、海、潟、どの説明も深い内容でした。

原城近くで昼食、島原そうめんの歴史の中に島原一揆、土地生産、気候、深く複雑な歴史のあることを宮武先生が教えてくれました。何気ない食べ物の中にも深い歴史が刻み込まれていることを知って、学生たちは目が開かれたことでしょう。

原城文化センターで松本先生が説明してくれました。原城跡で発掘されたメダイ、島原の乱で犠牲者となった人骨のレプリカなどを見学しました。今回のメインはここだとみんな心に決めていたため、食い入るような目で遺物を見、先生方のお話に耳を傾けました。

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発掘された一片の骨の刀傷に、どのような惨状があったかを想像するとともに、死者を悼む気持ちを忘れないようにして欲しいと思いました。

人間はどこまで残虐になるのかと考えざるを得ない人骨の山、一方でその背後にあった文化、島原の世界の中における位置、中世から近世の大きな転換、 とんでもなく思い宿題をもらいました。私を含めて参加者全員が、歴史の重さ、自分の使命、過去と未来をつなぐこと、しっかり学びたいと考えました。

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続いて原城の現場へ、城割の状況、その大きさ、見せる石垣、借景としての雲仙岳、前に広がる海、現地に来なければ分からない多くのことを、学生は実感したはずです。
せっかくなので全員で記念写真。

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背景はあ雲仙普賢岳です。

その後切支丹墓碑をも現地で見せていただきました。

そして日野江城跡へ。有力切支丹大名であった有馬氏の居城跡です。海川とのつながり、見せる石垣、その石垣技術、ここでも多くのことを考えさせられました。
ただ、ここには史跡保存と破壊の現代史もあります。
これからどんな発掘が成されるのか期待と同時に、よりよい史跡保存とは何かについても学生さんに考えて欲しいものです。

これまで見て来たのは、北九州を中心とした世界とのつながりの中から地域の歴史を考える視点と遺跡でした。鎌倉時代の元寇、秀吉の朝鮮侵略、そして 島原の乱。どれも日本の大きな転換期です。同時にすべて日本と世界の双方の歴史を考えねば成りません。宗教とは、文化とは、慣習とは、そして生きるとは、 いやになるほど大きな刺激を受けました。

私が災害文化史をやっていることを学生はほとんど認識していないのですが、そのこともあって雲仙普賢岳噴火の際の土石流被災地を見せてやりたいと思っていました。お二人の先生のご案内により、これにも接することができました。

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こうして埋もれた民家が残されていることが大事です。
自然の力のすごさを学生さんも思い知ったことでしょう。

さて、8時にレンタカーを返さねば行けないので、焦って大村へ。まさに8時直前にお店に滑り込みました。実にハラハラどきどきの金打に満ちた最後でした。
このような状況だったので、宮武先生にしっかりしたお礼も申し上げないという失礼を致しました。当然、おみやげも渡さずにでした。

8時半過ぎにやっと食事をし、さらに飲み会。みんなこの二日間で得た収穫と心の重さとで、気持ちは複雑だったと思います。

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でもみんな充実した、深い感動に満ちた1日だったと思います。
関さんが見つけてくれたお店だけに、マスターもなかなかすてきでした。


8日には朝9時55分発の飛行機で長崎空港からセントレアへ。このため山内先生とはホテルで、東京経由の山下先生とは空港で別れました。

今回のゼミ旅行では、学生を宮武先生というすばらしい研究者に接してやれたことが、私の学生に対する最大の贈り物だと思います。宮武先生は休みを犠 牲にし、さらに休みを取って丸2日間早朝より深夜まで、自分の車で学生ために実に心のこもった、内容豊かな説明をして下さいました。おそらく7日にご自宅 に帰り着かれたのは10時か、11時頃でしょう。
学問を支えること、学問の深さ、人のすばらしさ、こうしたことを学生は学べたと思います。松本先生の動きも全く同じでした。地域で発掘し、文化財を学び、未来を作る、それを実行している人の重み、魅力が学生にも伝わったはずです。
学生さんたちはまずは人から学ばせていただきました。このお礼は彼らが人として今後このお二人に限らず、社会にお返ししてくれると思います。
本当にありがとうございました。
私も改めて、皆さんに負けないようなしっかりした教師になりたいと考えました。

車を運転してくれた山下先生も、山内先生も同様です。私たちのために休みを取り、自費で同行してくれ、しかも学生に対して深い思いやりを示してくれました。
学生さんたちにとっても、一生でこれほど贅沢な時間を過ごすことは、そんなに無いはずです。

改めて、多くの人の支えによって私のゼミが成り立っていることを実感しました。私は今回の旅行ほど疲れたことがありません。学生ももう体がもたない と言っていましたが、実質的に学びは6日と7日の2日間でした。学生も私もこれほど疲れたのは、それだけ必死で耳をそばだて、考えたからでしょう。

とても楽しい旅でした。壁、関、森田の3人は色々疲れたことと思いますが、君たちの努力で楽しい旅になりました。同時に私のゼミに属する学生たちが どれだけすてきであるか改めて自覚しました。君たちのような学生がいる私は幸せです。良い仲間がいる君たちも幸せですね。私も心地よく学び続け、教育した いと思います。

楽しく中味のあるゼミ旅行になったことを、すべての人に感謝します。

なお、この旅行には後援会の補助を受けました。感謝いたします。

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