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はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

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暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ

もう40年近く前の話になりますが(と書き出してはみたものの自分でも信じられなかったので、数え直してみたら、正確には38年前でした・・・)、1984年4月から、生まれて初めての「一人暮らし」を経験しました。場所は広島市南区宇品御幸5丁目で、「岬荘」という名の学生専用アパートでした。結局、そこには一年半しか住みませんでしたが(大家さんが、もうちょっとちゃんとしたマンションに建て替えようと決断されたようです)、9年間過ごした広島のなかでも、宇品は一番思い入れの深い場所であり続けています。もっぱらこの個人的な「思い入れ」に引っ張られて『暁の宇品』(講談社)という本を手に取りました。自分としては、「広島」や「宇品」という土地がどういうところだったのか、なぜ「宇品」の後に「御幸」という地名が付いているのか・・・分かった気になって40年近く過ごしてきました。でも、この本を読んで、あの場所がどういうところだったのか、やっと実感できた気がしました。そして、大日本帝国がなぜ負けたのか、その「必然性」も腑に落ちました。この島国で、「陸軍兵士の海上輸送」という問題があれほど軽視されていたとは、思いもよりませんでした。と言いますか、そんな問題が存在していたことを考えたことすらありませんでした。

何だか、無性にあの土地に行ってみたくなりました。もうあの下宿も、銭湯も、お好み焼き屋も無くなっているみたいですけれども・・・。著者の堀川惠子さんは、紹介記事によれば、広島のご出身で、私より4歳年下のかたのようです。もしかしたら、どこかですれ違っていたかも知れません。こんなに素晴らしい書物を著されるかたと、一時期、同じ街の空気を吸っていたのかと思うと、何だかとても光栄な気分になってきます。この夏、お勧めの一冊です!

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