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はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

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小川さやか先生の講演を聴こう!

紹興市柯橋

もう10年前の話になってしまいましたが、中国浙江省杭州市でサバティカル研修を行いました。その際、近隣の紹興市に出かけ、歴史的文化的なスポットを参観して廻ったことがあったのですが、ホテルは紹興市柯橋地区に取りました。一番の理由は「柯岩風景区という名勝地に近かったから」ですが、現地に行ってから、そこには「中国軽坊城」という、服飾生地の大きな卸売市場があることを知りました。アフリカ系と思われる方たちが多く歩かれていて、そこが国際的にも有名な市場であることが分かりました。浙江省には義烏市というところがあって、そこは「小商品」を扱っている国際的な大きな市場があるのですが、その服飾生地版なのかなと思いながら街の様子を眺めていました。

11月2日(火)17時から、小川さやか先生の講演が開催されます。小川さやか先生は、『都市を生きぬくための狡知―タンザニアの零細商人マチンガの民族誌』(世界思想社、2011年)で第33回サントリー学芸賞(社会・風俗部門)を、『チョンキンマンションのボスは知っている―アングラ経済の人類学』(春秋社、2019年)で第8回河合隼雄学芸賞と第51回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞された、今を時めく研究者です。私は信州大学に2002年4月に着任したので、小川先生の信大時代を存じ上げないのですが、御著書を拝読して大ファンになっており、今回のご講演が楽しみでなりません。eALPSの多文化交流サロンのページでは『チョンキンマンションのボスは知っている』が紹介されていましたので、ここでは、別の御著書である『「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 』(光文社新書、 2016)を紹介しておきます。この本は、書名が示す通り、「その日暮らし(Living for Today)」という生き方を文化人類学的に考察されたものです。『チョンキンマンションのボスは知っている』と同じく、インフォーマル経済に関わるタンザニア商人が主対象ですが、個人的には、中国の「山寨文化」と呼ばれる、コピー商品・模造品の横行に対する考察が最も興味深かったです。ただ、『チョンキンマンションのボスは知っている』にしても『「その日暮らし」の人類学』にしても、「登場人物のキャラが立っている」という点が最大の魅力であるように思われます。コロナ禍でなかなか人とふれあう機会が少なくなっていますが、小川さやか先生の講演を聴いて、「多文化交流」をぜひ実感してください。

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