教員紹介

はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

教員 BLOG

一覧を見る
中国関係

香港

自粛期間中、Facebookで【7日間ブックカバーチャレンジ】に誘われました。「好きな本を1日1冊、7日間投稿。本についての説明は必要なく、表紙画像だけをアップ」という決まりで、順々に友人にバトンを渡していく企画でした。チャレンジ2日目にアップしたのが、横の画像です。星野博美著『転がる香港に苔は生えない』(文春文庫)。大好きな一冊で、学生さんにも是非読んでもらいたいと思います。この本については、本ブログで2017年6月29日に「「転がる香港に苔は生えない」のか?」と題して紹介していますので、興味のある方はそちらもご覧ください。

香港には一度だけ、1991年、大学院生の時に旅行したことがあります。当時はまだイギリス領でした。院生仲間2人とともに、上海・杭州・南京を廻った後に立ち寄りました。始めての中国旅行でしたが、とにかく暑く、とにかくゴミが散乱し、とにかく店員の愛想が悪く、とにかく列車の切符が手に入らなかったことが鮮明に記憶に残っています。その後に立ち寄った香港は、正直「天国かよ!」と感じるほど快適な街でした。前のブログに書いたように、その5年後、中国・杭州に長期滞在することになったのですが、96年秋から冬にかけて、やたらとテレビで「香港」が扱われるようになり、呑気な私でもさすがに「そろそろ中国に返還されるんだ!」と気付くようになりました。テレビでは、イギリスのサッチャーさんが「民主主義を理解しない中国に香港を返すのは忍びないけど、約束だから仕方が無い」と(20年以上前の漠然とした記憶に基づいています。本当はこんな言い方ではなかったはずです)、ずいぶんと「上から目線」で語っている姿が映し出され、それに対して何となく反発を覚えたものでした。それから長い年月が過ぎ、いまの香港を報道で見るにつけ、あの時とは逆方向の反発の念が心を去来しています。香港返還当時、「中国が香港化する」ことしか思い当たらず、「香港が中国化する」時がこんなにも早く到来するとは予想も出来ませんでした。自らの識見の無さを恥じるばかりです。どうか、これからも香港に苔が生えませんように。

トップページ 教員紹介 早坂 俊廣 ブログ 香港

ページの先頭へもどる