人文学部からのお知らせ
【新入生へ】~祝辞~
信州大学人文学部および総合人文社会科学研究科人間文化学分野の
新入生の皆さんへ
希望に胸をふくらませ入学された皆さんに対し、入学式を中止し授業開始も延期することになってしまい、本当に申し訳なく思います。このような形になってしまいましたが、信州大学人文学部の教職員一同を代表して、皆さんのご入学を心よりお祝い申し上げます。
「人文学」とは、人間の様々な営みを、奥行きと広がりのなかで捉えていこうとする学問であると言えます。いま目の前に繰り広げられている様々な事柄は、今いきなり発生したわけではなく、様々な経緯を経て今そこにあるものです。また、物事は、見えている部分だけでなく、見えていない部分によっても支えられています。このことを理解しない限り、物事の真相は見えてきません。「人間の様々な営みを、奥行きと広がりのなかで捉えていこうとする学問」というのは、そのような、これまでの経緯や見えていないけれども重要な部分に眼を向け、じっくりと掘りさげていく粘り強い営為のことです。
今、人類は大変な危機に直面しています。しかし、このような時だからこそ、我々は目先の変化に振り回されることなく、しっかりと事態を見据え、「いま、自分が為すべきことは何なのか」「いま、自分にできることは何なのか」をとことん考え、それを実践していくことが必要です。我々一人一人が、「人文学」の実践を求められていると言ってもよいでしょう。
2年後もしくは4年後、「入学した時は本当に大変だったけど、収穫の多い学生生活だった」と振り返る日が皆さんに訪れることを祈念しつつ、いま目の前にある危機を共に乗り越えていきましょう。
2020年4月1日
信州大学人文学部学部長
総合人文社会科学研究科副研究科長
早坂俊廣