人文学部からのお知らせ

研究者

第4回 言語学カフェ 御報告

昨日、2014年2月19日(火) 午後1時から2時半まで、人文学部の人文ホールにて


第4回 言語学カフェを開催しました。


報告者は伊藤盡でした。


タイトルは「古英語から現代英語」として、内容は以下の3点に絞られます。


1.1月20日に行った人文科学通論「言語学クラスター」で、どのような講義を行ったか


2.文学作品に使われる英語は「言語学」で扱わない「逸脱」した表現か?


3.「文法化」を、通時的に見たときと共時的に見たときでの解釈の違いについて


参加者は日本語学から山田健三先生、白井純准先生、日本語教育学から坂口和寛先生


欠席者は、大雪のために松本市に帰れなかった英語学の花﨑美紀先生とドイツ語学の磯部美穂先生


 


先ず、中学校で教えられる英語の語彙が少なすぎることや英文のレベルが低いことへの苦言から始まったこの報告。


次第に、本論に入っていきます。


英語史の授業では、大きな歴史の流れとして、古英語時代には名詞の屈折変化が十分に機能していたため、語順は比較的自由であったが、現代英語に至るまでに語尾変化が失われ、「主部+述部」を名詞+動詞という語順を固定化することによって文中の役割を明示的にする・・・などと教えているわけです。


けれど、本当に現代英語から「格」は失われたのでしょうか?


ということで、たとえば、last monthという言葉がどうして副詞として用いられるか、その起源に迫りました。


結論から言えば、古英語時代にあった対格は、名詞の形だけでは主格と同じ場合がほとんどであったが、それは文脈で判断していた、ということを鑑みて、現代英語にも、やはり格は存在している(代名詞に存在している、ということは、名詞にも本来存在している)、となり、文脈に応じて主部と述部、目的部を判断しているのだ、と主張したわけです。


また、そうでなければ、詩的な表現である


the chúrlish stóne her assáults defíed;


などは、parseできなくなります。

ここは、S+Vが単位となっているから、her assaultsが「S(主部)」defiedが「V(動詞)」であるとする説明は、

一切なりたちません。

これは「主部+目的部+動詞」という語順になっているからです。


などというところから始まり、議論が一斉に飛び出し、90分はあっという間に過ぎてしまいました。


次回は、白井先生による、日本におけるポルトガル語の問題を扱って下さるようです。


様々な分野の先生の視点からの問題提起や意見交換は非常に有意義でありました。

教員であると同時に研究者でもある大学教員は、このような知的刺激を日々受けることで、自分の研究を深めるよい推進力を得ることができます。


不定期ではありますが、今後も信州大学人文学部では、このように言語学関連の教員の勉強会を続けていこうと思っています。

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