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社会基盤研究センター

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(1)目的

 当センターは、信州大学の各分野を代表する研究者が集結した学際的な研究センターです。所属研究者32名は、若手研究者を中心に、全学部から参画しています。
 部門構成は、政策立案に欠かせない法制企画部門、経済産業部門に加えて、地域社会から高いニーズのある地域ブランド部門、地域計画部門、地域医療部門を設置しました。地域社会が抱える問題は、たとえば地域医療の問題一つ取っても、医学だけでも、法学や経済学だけでも解決できません。本センターの強みは、ある政策課題に対して、多彩な分野からの多角的な解決を提案できる点にあります。
 当センターは、信州大学内において、全学部に渡り、強固なネットワークがあることはもちろん、東京大学先端科学技術研究センターとの連携を始め、各研究者が所属している分野において、国内外の強固なネットワークを有しています。これらのネットワークを通じて、国際的、学際的な最先端の学術交流を信州の地において活性化していきたいと考えています。

社会基盤研究センター組織図

(2)各部門の紹介

①法制企画部門

 法制企画部門には、法律学の主要な領域をカバーする形で、民事法、刑事法、行政法、社会法、租税法を専門にし、弁護士としての実務経験、法曹資格、様々な自治体の委員を務めた経験などを有するスタッフが所属しています。これらの知見、経験を活かし、地域が抱える政策課題を分析し、法的課題を抽出、整理し、自治体職員等の関係者と一緒にどのような形での解決が可能か、総合的に検討を加え、提言を取りまとめるという形で貢献することができます。
 他部門との連携では、たとえば地域ブランド部門と連携して、創出されたブランドを法的にどう維持管理していくかという仕組みを提案できるほか、地域医療部門と連携して、安全な医療を担保する仕組みを検討していくことができます。

②経済産業部門

 経済産業部門はデータを用いて経済社会の実態を明らかにすべく、データの整備・分析とともに統計手法の開発などを行います。実態の考察を行う応用系の経済学のほか、分析手法などの基礎を構築する統計系・数理系の研究者が所属しています。環境や財政の経済学的分析は様々な政策立案に資するほか、経済産業部門が有する分析手法は幅広い分野で利用可能といった高い汎用性があります。
 他部門との連携では、たとえば地域ブランド部門と連携することで環境にやさしい地域ブランドの創出などにつなげていくことができます。

③地域ブランド部門

 地域ブランド部門は、地域ブランドの実態把握やその創出に必要なイメージ要素の分析、仕組み等の研究や開発を行います。しかし、ブランドの本質は、私達の記憶に依拠しており、簡単に見ることができません。心理学、言語学、感性計測学などの学問領域の手法を用いることで、それらを測定し、可視化するとともに、言語やロゴ、情報発信をどのように行えば、好ましいイメージを戦略的に抱かせることができるのかを明らかにしていきます。
 地域計画部門や法制企画部門と連携すれば、その地域のブランドイメージを保ちながら、発展していくまちづくりを進めていくことや新しいイメージづくりへの挑戦が戦略的に進めることができます。

④地域計画部門

 地域計画部門は、防災、ランドスケープ、建築、経済という複合的な観点から、新たな社会基盤の構築を進める研究者が所属しています。地域計画の成功事例に関して、多彩な分野からの分析を行い、1. 自然災害へのレジリエンスの高い地域づくりに向けた土地利用計画モデルの確立と、2. 複合的なグリーン・インフラの実現にむけた実際の自治体への情報発信を進めていくことを目指しています。
 個別の宅地開発、インフラ整備、土地転用の不整合は、資産価値の低下や、人口減につながる可能性があり、人口が減少すれば1人あたりの地域インフラの維持費は増大していきます。欧州で推進されているランドスケープ条約に基づく総合的な地域計画では、資産価値を高めて、人口の減少や社会インフラの維持費を抑制するまちづくりに挑戦しています。実際に、イギリスでは、複合的な地域計画で成功事例を数多く生み出しています。パブリックパス(グリーントラベル)の地域経済に与えるメリットや、緑地へのアクセスビリティと健康の関係に関する研究成果を踏まえれば、地域医療部門と連携して、ウォーカブルな街づくりをすることで、健康増進に役立て、CO2削減や渋滞緩和も複合的に達成する地域づくりの実現が期待されます。

⑤地域医療部門

 地域医療部門は医学と社会科学(法学、心理学、経済学)と連携して、地域の医療に関わる「社会的な問題」を解決するために設置されました。地域医療に関わる医学、法学、経済学の研究者が所属しています。地域の安全な医療体制を検討するほか、地域の多様なデータを分析して、あるべき医療、健康政策を検討していきます。
 例えば、訴訟リスクを恐れて地域医療が萎縮している問題があります。これは、必ずしも救急医療体制が充実していない地域では深刻な課題となります。法制企画部門と連携することで、地域で働く医師やコメディカルの皆様に医療事故・過誤の情報提供や講義を行います。講義前後での仕事に対する不安感を測定することで、訴訟リスクにおびえることなく、すべての医療従事者が安全で安心な医療を提供できるのか、またそのためにはどのような法律上の知識が必要なのかを検証します。この検証を通じて、安全・安心のための信州モデルを、全国に発信していくことができると思います。

(3)獲得資金等

 ①総務省・IoTを活用した地域ブランド創出スキームの構築・45,063千円
 ②農林水産省・ICT・AIを活用した次世代のブドウ産業活性化研究ネットワーク・5,940千円
 ③経済産業省・地方創生サービス経営人材「ローカル・イノベーター」創出事業・600万円
(他、多数)

以上

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