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Sirtuin 3がライディッヒ細胞の増殖・アンドロゲン産生におよぼす影響の解明

2024年03月06日 [研究]

 信州大学医学部感染病態解析学講座の的場久典助教らの研究グループは、サーチュインファミリー(※1)の一員であるSirtuin 3 (Sirt3)が、活性酸素種(ROS)の抑制を通じてライディッヒ細胞(※2)の機能の維持に関わり、Sirt3のノックダウンがその増殖やアンドロゲン(※3)産生を抑制することを発見しました。


【背景】
 活性酸素種(ROS)は、酸素分子がより反応性の高い化合物に変化したものの総称であり、生体ではその増加がDNA損傷などを通じて老化や発癌に関わることが知られています。サーチュインファミリーは脱アセチル化酵素の一群で、哺乳類ではSirt1からSirt7までの7種類が知られていますが、特にSirt3はミトコンドリアに局在し、活性酸素種(ROS)の抑制に関わることが知られています。しかし、Sirt3がライディッヒ細胞の機能に与える影響については不明でした。


【研究手法・成果】240305_sirt3_matoba.png
• Sirt3がヒト・マウス精巣のライディッヒ細胞において高発現することを明らかにしました。
• マウスのライディッヒ細胞の細胞株を用いて、Sirt3の発現抑制が活性酸素種(ROS)の増加とアポトーシス(※4)による細胞死を誘導し、これを介して増殖能の低下とアンドロゲン産生の低下をもたらすことを明らかにしました。


【波及効果・今後の予定】
 Sirt3が活性酸素種(ROS)の抑制を介して、アンドロゲン産生や精子形成の維持に対して潜在的な影響を持つことが示されました。この結果より、今後、生殖医療への応用などが期待されます。

 本研究成果は2024年2月13日付けでEndocrinology誌に掲載されました。


 


【論文タイトルと著者】
<タイトル> Sirt3 Regulates Proliferation and Progesterone Production in Leydig Cells via Suppression of Reactive Oxygen Species

<著 者> Hisanori Matoba, Chifumi Fujii, Kazuaki Maruyama, Masatomo Kawakubo, Masanobu Momose, Kenji Sano, Hitomi Imamura, Hiroki Kurihara, Jun Nakayama

<掲載誌> Endocrinology

<DOI> 10.1210/endocr/bqae017


【用語解説】
(※1)サーチュインファミリー:老化や寿命などの生体機能をコントロールする遺伝子
(※2)ライディッヒ細胞:男性ホルモンを産生する細胞
(※3)アンドロゲン:男性ホルモンの総称
(※4)アポトーシス:プログラムされた細胞死

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