経法学部応用経済学科3年の室田誠さんと齋藤祐也さんの共同研究が、行動経済学会の「第3回学生論文コンテスト」で、学部学生部門の優秀賞を受賞
2020. 03.08
- お知らせ
経法学部応用経済学科3年の室田誠さんと齋藤祐也さんの共同研究が、行動経済学会の「第3回学生論文コンテスト」で、学部学生部門の優秀賞を受賞することが、令和2年3月8日に、公表されました。
行動経済学会では、若い研究者の活動や交流を支援するため、行動経済学に関する研究について、学部学生、修士課程学生の論文とプレゼンテーションを審査する学生論文コンテストを開催しています。
室田さんと齋藤さんの共同研究「罰則の有無による行動の違いと保険加入行動との関係」では、罰則があることへの反応の違いと、保険加入行動との関係について、実証分析を行っています。
論文の概要は、以下の通りです。
罰則があるからといって、誰もが罰則の対象となる行為を慎むとは限らない。こうした、罰則があることへの反応の違いは、他の行動様式と関係があるかもしれない。そこで、本論文では、罰則の有無による行動の差異と、リスクに対する姿勢との関係について実証分析を行った。
具体的に、罰則があることへの反応の違いとして用いた指標は、自動車の後席シートベルト着用率である。2008年の道路交通法改正により、後席シートベルトの着用が義務化された。ただし、実際の運用では、違反した場合に罰則が科されるのは高速道路のみであり、一般道の場合、口頭注意にとどまる。そこで、都道府県別の後席シートベルト着用率のデータを用いて、高速道路での着用率と一般道での着用率の差を、「罰則の有無による行動の違い」の指標とすることとした。法改正によって、ある行為に対して罰則が設けられることは、対象となる行為の背景に潜むリスクを周知する機会とも考えられる。
したがって、法改正の影響に敏感に反応する人は、リスクへの感応度が高く、保険にも手厚く加入する可能性がある。分析結果では、2008年に着用が義務化されて以降、高速道路での着用率と一般道での着用率の差が大きい場合ほど、任意自動車保険に手厚く入る傾向があることを確認した。このことは、「罰則の対象となった行為には、違反した場合に大きな危険にさらされる恐れがある」と敏感に感じ取る場合ほど、リスク回避的傾向にあり、保険に手厚く加入するようになることを示唆していると考えられる。
なお、審査委員会からの講評は、下記の通り。
「独自性の高いアイデアを確かな実証手続きで研究成果に結実させた手腕が評価されました。」