小宮山 英利 先生(諏訪倉庫株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました
2024. 12.11
- 経営者と企業
2024年12月11日、2024年度「経営者と企業」第7回の講義として、諏訪倉庫株式会社 代表取締役社長 小宮山 英利氏から「経営者として思うこと ~あたりまえの日常を支える倉庫業~」と題して講義が行われました。
今年で創業130年を迎える諏訪倉庫株式会社は、創立から一貫して「倉庫業」を営まれ、物流という日本経済の血流とも言える「ものの流れ」を支えてきた総合物流企業です。
お客様の財産をお預かりするにあたり一番大切なのは「徹底した品質管理」であり、設備投資やランニングコストは莫大だが、倉庫業の生命線であると述べられました。
かつての倉庫業は地味でマイナーな業界というイメージでしたが、新型コロナウィルス対策の基本的対処方針によって、それまでの立ち位置が変化し、社会の安定維持のための事業継続が求められ、おおいに注目を集めることとなりました。近年では大規模災害が発生することも多く、倉庫業の停止は日常生活や生産活動に多大な影響を及ぼします。
あたりまえな日常を支え、さらに高度化するニーズへも対応するべく、最新の倉庫管理システムの導入・さまざまな機能や成り立ちで、地域社会の発展に貢献されています。
明治・大正時代、日本における生糸の生産・輸出量は日本経済を牽引しており、なかでも岡谷市一帯は生糸の一大生産地として目覚まし発展を遂げました。当時、リスクの大きい繭を担保に融資を受けたことで、繭の保管と品質管理に同社が設立されました。その後は時代の流れや地域産業の変遷とともに事業内容が拡大、現在は米や飲料、タイヤ、ペットボトルの空きボトル、機械部品と多種多様な物流ニーズに対応できる設備を備え、業績は創業以来一度も赤字を出さない経営を続けています。
小宮山氏は大学卒業後、28年間という長きに渡り金融機関に勤務された後、同社へ入社されたことを振り返られました。
「銀行員生活で2000人以上もの経営者と接し、その成功や失敗に立ち会ってきたことが今の自分のベースになっている。仕事が楽しく自分に自信をもって大きく成長した時期もあったが、過剰な『強み』や『自信』が『驕り』となり、地道な営業努力の妨げとなったこともある。商売は決してひとりではできず、協力者が必要。調子のよい時ほど謙虚でなくてはならず、『自信は失わず、驕りに陥らず』が大事であることを実感した」と語りました。
その後、意気揚々と同社へ入社された小宮山氏は、それまでの自信やプライドが邪魔して屈辱の毎日を送り、現実の壁にぶつかりました。「『言う』のと『やってみる』のは大違いで孤立していたが、銀行員時代に言われた言葉を思い出し、現実を見ることができた。今、社長としてやっているのも、その言葉が根底にあるからだと思う」との思いを述べられました。
「自分の経験に裏付けされた自信は絶対的なものかもしれないが、社長とは『偉い人』ではなく『ツラい人』。未熟な自分を受け入れ、開き直ることで気付くことがあり、新たな展開が生まれる」と述べ、今までの豊富な経験を「自信と驕り」をキーワードとしてお話しいただき、ご自身が長年培ってこられたことを学生に向けたメッセージにして締めくくられました。