山田 一隆 先生(長野證券株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました
2024. 12.18
- 経営者と企業
2024年12月18日、2024年度「経営者と企業」第8回の講義として、長野證券株式会社 代表取締役社長 山田 一隆氏から「不易流行の経営」と題して講義が行われました。
1900年創業の長野證券株式会社は、県内8店舗で営業を行う独立系の地場証券です。
124年という長きにわたり培ってこられたお客様との信頼関係をもとに、地元に根差した企業として、適格な資産運用、資産形成のご提案をお届けしています。
山田氏は、「担当者が2~3年でかわる大手証券と違い、地域のお客様との長いお付き合いにより、真のニーズに寄り添ったサービスが提供できるのが我々の強み。直近5期の決算状況は黒字経営を維持しており、要因として特別利益(配当収入)も貢献したことや、評価制度の見直しにより、働き甲斐や働く上でのモチベーションがアップしたこと」などを挙げられました。
最近の業界を取り巻く環境はさまざま点で大きく変化しており、例えば、アメリカにおける株式売買委託手数料無料化の動きにより、日本でもネット証券で相次いで手数料無料化が進んでいることを背景に、新NISA制度で個人投資家の証券口座が激増している一方で、売買代金は増加傾向にあるものの、地域証券の営業収益は微増にとどまっており、今のマクロ環境ではなかなか難しい現状にあること等、業界の3C分析として解説いただきました。
昨今の社会情勢や市場経済の変動により、同社では新たな事業戦略を進めています。12月より取り扱いを開始した「ゴールベースアプローチ(GBA)型の『ユメミライテラス』」は、短期的リターンを追求する資産運用ではなく、お客様が思い描く将来の目標を実現させるため、その実現のために最適な運用プランを提案し、資産形成の目標達成をサポートすることを目指しています。資産形成には、お客様が信頼できるアドバイザーの存在が大切だと述べ、GBAの目的・手段・成果について説明され、お客様の運用目標まで伴走することの重要性を語りました。
「地方証券会社連携コンソーシアム」は、地方の証券会社が手を組み、それぞれの県の強みを活かし、課題解決や資金調達等の問題に対して支援事業を展開するなど、法人先への新たな付加価値を提供することで、地域経済に貢献しています。
個人先への新たな付加価値提供としては、「家族信託」や「おひとりさまサポート」をご紹介いただき、「いずれもお客様との信頼関係があってこそ成り立っている」と述べられました。
最後に、本日の講義テーマである「不易流行」について取り上げ、「今までと同じことを繰り返していても何もうまれない。常に新しい要素を取り入れ、それまでとは違う結果を出していく必要がある。大学卒業後、研究職に就いたのち異業種の金融業界へ入ったが、いずれも『好きを極める世界』の中でやってきた。好きを極める世界を見ると、自分は好きなことにもっと貪欲になれる」と、ご自身の経験を踏まえてお話しいただきました。
経法学部の学生にとって金融・証券業は関心の高い業界のひとつであり、講師のお話しに真剣に耳を傾ける姿が印象的でした。