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石黒 和佳子 先生(日野製薬株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

石黒 和佳子 先生(日野製薬株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

2024. 11.06

  • 経営者と企業

 2024年11月6日、2024年度「経営者と企業」第2回の講義として、日野製薬株式会社 代表取締役社長 石黒 和佳子氏から「先人の思いを未来へ継承することを目指して」と題して講義が行われました。

 日野製薬株式会社は、江戸時代から伝わる胃腸薬「百草」でおなじみの製薬製剤メーカーです。
 同社の前身である旅籠「日野屋」にて、御岳山を訪れた信者や旅人に百草を販売したことから始まり、1911年以降、製薬業へ転業してからも旅籠からの「おもてなしの心」を忘れず、研究・開発・販売に取り組まれています。

 日野製薬の原点である「百草」の原料は、キハダの周皮を除いた樹皮であるオウバクと呼ばれる生薬で、木曽は原料となる薬草の宝庫であることが良質な薬づくりにつながっています。その後開発された「百草丸」に7種類の生薬を配合した「日野百草丸」をご紹介され、生薬を用いた医薬品に関する市場動向についても解説いただきました。

 石黒氏は「人は何のために生きるのか、考えたことはありますか」と学生に問われ、ご自身が勤務されていたIT企業時代を振り返られました。
 役員補佐となり、これから自分がどうしたらよいのか自問自答しながら仕事を続けるなかで、あるお客さまとの出会いにより、「残りの人生に何をかけるのか、自分のするべきこと、伝えていくことは何かを考えることができた」と述べられました。
 そして「経営者という仕事は何か」についての私見をいくつか挙げられ、「何かを与えられた時には、いろいろと考えすぎず、決めつけずにやってみると違う世界が見えてくる。みなさんも、どんどんチャレンジしてほしい」と学生に向けて語られました。

 現在、生薬製剤の製造に欠かせない国内産のキハダは年々採取量が減少しており、オウバクに限らず生薬の多くを外国産に頼っている状況です。これらをふまえ、同社では「キハダプロジェクト」を立ち上げ、自らキハダを植樹、収穫、育苗とキハダのライフサイクルに伴走。さらに薬用に用いる樹皮以外の部位(オウバクの残渣、葉、実など全て)の利活用を目指し、実現に向けた様々な取り組みを行っておられます。
 近年では、「自分の体は自分でケアしていく」というセルフメディケーションの重要性の高まりもあり生薬の需要が高まっているようです。その中で、木曽の豊かな自然の恵み、それを用いた健やかな暮らしと先人の思い、伝統を継承しながら、新しいものをつくり提供していくことに努めていきたいと、今後に向けた抱負を述べられました。

 講義終了後は学生から多くの質問があり、そのひとつひとつに丁寧にお答えいただきました。また、石黒氏からもQRコードでアンケートをとったり、学生を指名するなど終始活気あふれたものとなり、大変充実した講義となりました。

  • 日野製薬(株) 代表取締役社長 石黒和佳子氏
  • 講義風景

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