金子 行宏 先生(シナノケンシ株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました
2024. 11.20
- 経営者と企業
2024年11月20日、2024年度「経営者と企業」第4回の講義として、シナノケンシ株式会社 代表取締役社長 金子 行宏氏から「持続可能な社会の実現に向けた企業経営 ~スタートアップ企業との連携で未来を創る~」と題して講義が行われました。
1918年に絹糸紡績会社として創業してから107年目を迎えるシナノケンシ株式会社は、産業機器や医療機器、自動車、住宅設備など幅広い事業分野に参入、主力製品である精密小型モータの開発・製造・供給を手がけています。
2019年には新しいコーポレートブランド「ASPINA(アスピナ)」を立ち上げ、モータ事業で培った「小・軽・静」の幅広い技術力や顧客ニーズへの対応力、さらには海外への積極的な進出でグローバルに開発・調達・生産網を展開しており、新製品の開発や新規事業の開拓、近年では宇宙産業に参入するなど、挑戦を続けています。
2018年に100周年を迎えた同社は、さらに次の100年に向けた戦略立案として、スタートアップとの連携を始めました。様々な社会課題が山積している昨今、持続可能な社会の実現にはこれらの課題を解決するイノベーションが必要だと述べ、スタートアップや政府・自治体、投資家や大学、既存企業等の団体がつながり、社会全体の力でオープンイノベーションによる解決を進めていく必要性を説かれました。特に、オープンイノベーション活動において、スタートアップ企業の重要性が増しており、同社も日本や米国の大学、スタートアップと研究・リスキリングなど包括的に協力しており、具体的な協働事例や顧客・市場の新規開拓への取り組みについてお話しされました。
既存企業としてスタートアップとの関係を構築するには様々な手段で挑まれたものの、事業に対する向き合い方の違いも多く、お互いを尊重し合い発展する活動を行ってこられました。それらの成果の一部をご紹介いただきました。
講義後半では近年、重要性を増す「パーパス経営」について解説され、「自社は何者か?」を示すことが重要だと述べられました。企業3社のパーパスの例を挙げられたのち、「自分の考える最も優先するステークホルダーは誰か」をお題とし、学生とのディスカッションが行われました。個人ワークの後、グループで意見を共有し議論を進めました。グループごとに様々な意見や考えが発表され、おおいに盛り上がりました。
金子氏は「真の資産は人であり、従業員を第一にすることがベースで、当社設立の動機にもつながっている。自分自身、悩みながら手探りでやっているが、一人ひとりが社会に貢献し、人々とのつながりを通して生きがいを実感できるようになってほしい。多様な『自分のありかた』を深めていってください」と述べ、講義を締めくくられました。