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栁澤 美穂 先生(エフビー介護サービス株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

栁澤 美穂 先生(エフビー介護サービス株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

2023. 12.13

  • 経営者と企業

 2023年12月13日、2023年度「経営者と企業」第8回の講義として、エフビー介護サービス株式会社 代表取締役社長 栁澤 美穂氏から「上場企業の経営について」と題して講義が行われました。

 現在の日本は超高齢化社会の真っ只中にあり、2025年には総人口の約30%を65歳以上の高齢者が占めるであろうと推測されています。
高齢化社会が直面する介護の問題は実に深刻で、介護職員離職の増加による労働人材の不足、核家族化による老々介護や認認介護(高齢の認知症患者の介護を、認知症である高齢の家族が行う)の増加、ヤングケアラーや介護難民問題等、多くの課題が山積している状況にあります。
 この現況をふまえ、栁澤氏は「介護業界の将来に大きな不安を感じるとともに、施設運営の厳しさを痛感しているが、利用者様への支援・サポートを真剣に考え、利用者様の夢をかなえるために多くの関係者と日々考え、前向きに努力を重ねている。介護の社会的効果を高め、より一層の地位向上に努めていきたい」と今後に向けての抱負を述べられました。

 エフビー介護サービス株式会社は、信越・北関東エリアを中心に「介護事業」と「福祉用具事業」を2本柱として事業を展開されており、介護における多様なニーズに応えるため地域に密着した事業の拡大を進め、2022年4月には東京証券取引所スタンダード市場に上場、首都圏への進出も果たしました。さらに企業のM&A案件等に積極的に取り組むことにより、より一層の事業拡大を目指して邁進されています。
 1987年に設立された同社は、2000年の介護保険制度施行に伴い介護事業に参入、その後、佐久市内初の小規模多機能型居宅介護施設の開設、食事提供ならびに外販を目的としたグループ会社の設立等、福祉用具のレンタルや介護施設の運営に注力し、介護支援や介護サービスを提供しながら成長を続けています。

 栁澤氏は、株式上場に向けた準備の際には大変な苦労があり、多くの審査や対応に追われた日々であったと振り返られ、「上場企業のステークホルダーは『四方よし』でなければならない。当社の場合は、売り手(自社)、買い手(利用者様)、世間(その他の企業のステークホルダー)、そして株主、すべてがよくなるような経営を行う必要があり、なかでも株主に配慮した経営が求められる。日本の介護市場の今後を見据え、市場規模の大きい関東エリアでのサービス提供の拡充をはかり、都市型モデルの確立を目指して増収増益につなげたい」と、これからの経営に向けた方向性について述べられました。

 昨年は多くの業界が物価や人件費の高騰により大きなダメージを受け、同社も大きな減益となりました。高齢化率が上がる一方で、出生率の低下により若い人は減少。一方ではAIやデジタル技術の開発が進み、何が良いのか模索が続いています。
栁澤氏は、「今後は、SDGsやサステナブルな経営を念頭に上場企業として必要なことを実践し、経営者として介護業界に吹き荒れる逆風に立ち向かっていく覚悟でいる。介護業界は慢性的な人材不足で、離職率の高いことが課題であるが、どうしたらこの業界に興味や関心を持ってもらえるか、介護業界の魅力づくりにも貢献していきたい」と熱く語り、講義を締めくくられました。
 

  • エフビー介護サービス(株) 代表取締役社長 栁澤美穂氏
  • 講義風景

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