TOP > 授業紹介

瀧川 浩 先生(長野都市ガス株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

瀧川 浩 先生(長野都市ガス株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

2022. 12.14

  • 経営者と企業

 2022年12月14日、2022年度「経営者と企業」第8回の講義として、長野都市ガス株式会社 代表取締役社長 瀧川 浩氏から「カーボンニュートラルへ向けた都市ガス事業の役割と取組み」と題して、講義が行われました。

 長野都市ガス株式会社は、長野県東北信の8市3町の家庭用から業務用・産業用まで約96,000件のお客様に都市ガスを提供しており、豊かで快適な暮らしの実現に向けて日々、取組んでいます。
 長野県はプロパンガス(LPガス)事業者が圧倒的に多いものの、ガス管を通じて直接利用者に届けられる都市ガス事業を行う会社が県内には7社あり、長野都市ガスはそのなかで最大の会社です。当社は、県営ガスの民営化に伴い設立され、その後長野市を営業拠点としていた東京ガス長野支社と合併することによって現在の事業規模になりました。
 都市ガスの原料は、時代とともに変遷しましたが、現在は天然ガス(主にメタン)が使われており、その大部分は海外から液化天然ガス(LNG)として輸入されています。その後、「付臭」と言われる臭い付けや圧力調整等を行い、ガス導管網(道路下のガス管)を通してお客様に提供される仕組みです。
 天然ガスの原料は化石燃料の中でもCo2の排出量が最も少ないクリーンなエネルギーであり、カーボンニュートラル化に向けた経過段階として一層の活用が期待されています。

 日本は天然ガス供給の約96%を海外からの輸入に依存しており、オーストラリアや中東、東南アジアを中心に最近ではアメリカからも調達することで、安定供給を確保しています。昨今の大規模自然災害における復旧実績から、導管等の強靭なガスインフラや分散型エネルギーシステム等により、高いレジリエンス性の強化につながっていると、ガス事業の強みについてお話しいただきました。ちなみに長野県は非常に恵まれた地域であり、災害時にも新潟や静岡のLNG基地と高圧輸送導管から安定して供給を受けることが可能であるとされています。

 2050年の脱炭素社会・カーボンニュートラル化の実現に向け、①低炭素化に資する取組み、②脱炭素化に資する取組みを挙げ、解説いただきました。脱炭素社会の実現に至るトランジション(移行期)は徹底した天然ガスシフト・天然ガスの高度利用により確実なCo2削減を進めること。2050年までに様々な手段を複合的に用いてカーボンニュートラルメタンへの置き換えを進めていくこと等、都市ガス事業の役割について解説されました。
 なかでも水素とCo2から都市ガスの主成分であるメタンを合成する「メタネーション」を取りあげ、「水素の直接供給は高度な技術開発が必要であり、課題の整理・検討が不可欠。今後も、これらのイノベーション技術とガスシステムを組み合わせたガス供給の実現に向け挑戦していく」との抱負を語りました。

 瀧川氏は、「今年150周年を迎えた都市ガス事業は規制下での地域独占ながらも、エネルギー間競合の歴史を重ね、約30年周期で体制・設備・技術をイノベーションしながら激動の時代を乗り越えてきた。小売りが全面自由化され、新たなフェーズに突入していくだろうが、常にビジネスチャンスとして捉え、カーボンニュートラル実現に向けて邁進していきたい」と語り、講義を締めくくられました。

  • 長野都市ガス(株) 代表取締役社長 瀧川浩氏
  • 講義風景

pagetop