たどころ あかり
田所 朱莉
英米言語文化 助教
研究分野 英語文学・演劇
現在の研究テーマ
現代アメリカ演劇を専門としています。現在の具体的なテーマは以下の通りです。
1.スーザン=ロリ・パークスが目論む「歴史の書き換え」のメカニズムについて
アフリカ系・アメリカ人女性劇作家であるスーザン=ロリ・パークスは、「反復と改訂」と呼ばれる独自のドラマツルギーを用いて、白人優位の言説を脱したオルタナティブな歴史物語の創造を試みます。どのように歴史書き換えのメカニズムが稼働し、「歴史」が改訂され続けるのかという具体的な方法論を明らかにすることを研究テーマとし、包括的なパークス研究を完成させることを目指しています。
2.劇的技巧や劇作法、劇構造について
演劇のひとつの特徴は、役者と観客がひとつの空間に共存することにあります。劇作家はどのように観客の意識を舞台世界へと巻き込んでいくのでしょうか。劇的技巧や劇作法、劇構造の分析をとおして、舞台と観客との関わりや劇の効果を明らかにすることを試みています。パークスに限らず、様々な劇作家に当てはめることのできる観客論を考察することが長期的な研究目標です。
研究から広がる未来と将来の進路
英語圏の文学を学ぶことの意義は、多様なバックグラウンドや価値観を持つ人々/社会を知り、深い素養と鋭い洞察眼を持って、行動できるようになることにあります。大学の授業/研究では、単に文学を「読む」だけでなく、様々な意見に触れ、柔軟に思考したうえで、自らの意見を発信していくことが求められます。そのような経験をとおして、文学的な素養だけでなく、思索力、判断力、自らとは異なる「他者」を受容する力、発信力など、社会で活躍していくために必要な力を身につけることができるでしょう。
主要学術研究業績
1.“Creating Venus on Stage: Reconstructing Fragments in Suzan-Lori Parks’s Venus.”
The Journal of the American Literature Society of Japan, no. 19, Feb. 2021, pp.39-54.
2.「『父が戦場より帰還する 第一部・二部・三部』における白人優位性の転覆――スーザン=ロリ・パークスのパスティーシュ歴史劇」『アメリカ演劇』(33)2022年9月、79-96 頁
3.“The Contagious ‘A’: The Mutual Interaction between Nathaniel Hawthorne’s The Scarlet Letter and Suzan-Lori Parks’s In the Blood.” EX ORIENTE, vol. 27, March 2023, pp. 105-21.
4.“The Ever-lasting Process of “Rep & Rev”: Echoes in Suzan-Lori Parks’s The America Play.” Journal of Interdisciplinary Humanities, no.1, March 2024, pp.241-55.
その他の業績は( https://researchmap.jp/a.tadokoro )をご覧ください。
所属学会と学会での活動
日本アメリカ文学会、日本アメリカ演劇学会、日本英文学会、大阪大学言語社会学会に所属しています。
日本アメリカ演劇学会では、幹事を務めています。
経歴
2018年3月 大阪大学外国語学部外国語学科英語専攻卒業
2020年3月 大阪大学大学院言語文化研究科言語社会専攻 博士前期課程修了
2023年3月 大阪大学大学院言語文化研究科言語社会専攻 博士後期課程修了 博士(言語文化学)
2023年4月~2024年3月 大阪大学大学院人文学研究科特任助教(常勤)
関西学院大学法学部非常勤講師
2024年4月 信州大学人文学部着任
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