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おおぐし じゅんじ

大串 潤児

歴史学 教授

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満蒙開拓青少年義勇軍シンポジウム 2011年10月

2010年シンポジウムの記録集

 2011年10月1日、昨年にひきつづき「第2回 満蒙開拓青少年義勇軍シンポジウム」が開催され、私もコーディネーターとして参加しました。  昨年も開催されたこのシンポジウムですが、参加者や実行委員会のなかで継続的に議論を深めていく必要があるといった意見が多く、今年は第2回と銘打っての企画です。昨年が、茨城県の義勇軍経験者・吉野利雄さんの講演を中心に、「満蒙開拓青少年義勇軍とは何だったのか?」という、いわば総論的なテーマを設定したのに対し、今年は、「『満洲に行く』とは何だったのか?」として、(1)義勇軍への「志願」の動機、(2)送出を勧めた教員の経験、に焦点をあわせた対話形式の集会となりました。

長野県歴史教育者協議会の仕事

 出席して貴重なご経験をお話し下さった方々は、義勇軍経験者として浜舟剛さん、佐藤仁さん、学校教員だった宮川清治さん、三澤豊さん(発言順)です。  浜さんは、志願動機について「経済的な貧困は感じなかった」「自分の信念でいった」と述べ、佐藤さんは自分史を語るなかで自分の経験を位置づけて下さいました(佐藤仁『義勇軍から八路軍へ 亡き拓友に捧ぐ』(書肆秋桜舎2011年)。  宮川清治さんは、下伊那郡平岡小学校時代に義勇軍への参加を「勧めた」ことの後悔の念と、長野県でさかんであった「農村教育」「郷土教育」「青少年教育」が「満蒙開拓」に結びついたことを指摘、また三澤さんは青年学校農業科の教師という立場からの経験をお話し下さいました。  NHK「戦争証言」プロジェクト『証言記録 兵士たちの戦争⑤』NHK出版2011年に「王道楽土を信じた少年たち」は、この方々の証言をふくめて構成されています。また、長野県歴史教育者協議会が編集した仕事にも証言は寄せられています。    会場からも、話し手の経験に即した多数の質問がよせられました。

参考にした長野県における義勇軍関係書籍

 満蒙開拓青少年義勇軍の概要は概ね解明されつつあるところですが(長野県歴史教育者協議会編『満蒙開拓青少年義勇軍と信濃教育会』大月書店2000年、白取道博『満蒙開拓青少年義勇軍史研究』北海道大学図書刊行会2008年)、まだまだ個々の経験に即した「義勇軍の歴史的意義」を考えることの必要性を示していました。今回は、「渡満まで」の問題に焦点を当てましたが、義勇軍と女性(「大陸の花嫁」)、義勇義軍送出と家族、「満洲」での生活史、軍隊との関連、「引揚」、戦後社会への向きあい方など多くの論点が残されています。 可能であれば、来年も問題を深めていきたいと、私個人は思っています。    また、すでに多くの仕事をしてきた飯田下伊那地域の「満蒙開拓を語りつぐ会」が10年の活動をまとめる作業に入っています。

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