教員紹介

おかもと たくや

岡本 卓也

心理学・社会心理学 准教授

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研究活動

『ワードマップ コミュニティ心理学(新曜社) 』刊行

 新曜社から『ワードマップコミュニティ心理学—実践研究のための方法論』が刊行されました。ワードマップシリーズとしてはちょっと厚めの360ページのボリウムです。日本コミュニティ心理学会研究委員会の編纂ですが,私も,研究委員会のメンバーとして編集に携わりました。
 本書の特徴は,各執筆者が,自らが行なっている実践的研究事例をとりあげ,研究のきっかけやフィールドへの入り方から解説している点です。
 コミュニティ心理学の研究対象は多岐に渡るわけですが,往々にして初学者の方は,何らかの問題関心を持ちながらも,そのフィールドにどのようにアプローチして良いのか悩みがちです。もちろん私もそうでした。
 また,どのような研究法を採用するのが良いのかも重要な問題で,頭を悩ませます。研究対象は何なのか,明らかにしたいことは何なのか,解決したい問題は何なのか,こういったことによって,研究方法は定まってくるわけですが,一筋縄にはいきません。
 コミュニティ心理学でよく用いられている研究法には,質問紙を用いた計量的なものやプログラム評価から,フォーカスグループインタビュー,GTAなどなど多種多様です。それだけではなく,実践的価値が求められるため,研究を進めていくことに不安を覚えることが多くあります。
 本書ではそれらの様々な研究法についても,その特徴,メリット,デメリットを紹介しています。また,それだけではなく,各研究者がなぜその研究法を採用したのかについても言及することで,コミュニティ心理学の実践研究を効果的に学ぶことが出来るよう工夫されています。
 コミュニティ心理学の初学者や大学院生だけでなく,現場で実践的な取り組みをする中で,科学的なアプローチによる分析を試みたいと考えている方など,多くの方のお役に立てれば幸いです。

以下のような構成になっています。(私は,4-2,7-4を分担執筆しています。)

ワードマップ コミュニティ心理学 目次

第Ⅰ部:コミュニティ心理学の視座に立つ
 第1章 研究と実践
  1-1 コミュニティ心理学の研究と実践の往還
  1-2 コミュニティ心理学研究のあり方
  1-3 コミュニティ心理学の介入・実践研究
  1-4 コミュニティ心理学の7つの中核概念
  1-5 コミュニティ心理学的研究における倫理的問題

第Ⅱ部:研究事例から学ぶ
 第2章コミュニティ援助
  2-1 子どもの虐待を減らすには―より良いアウトリーチと多機関連携
  2-2 患者をチームで支えるには―医療現場におけるコラボレーション
  2-3 職場環境改善のためのコンサルテーション―事例研究法による効果検証
  2-4 ハラスメントのない環境を作るために―学生相談カウンセラーによるアクション・リサーチ
  2-5 コミュニティにおけるコンサルテーションとは―ブリーフセラピーによるコンサルテーション
 第3章エンパワメント
  3-1 DV被害者に対する個人・組織・コミュニティ次元での「エンパワメント」
  3-2 津波に遭った中学校の表現活動を励ますには―エンパワメント評価研究を通した間接的心理支援
  3-3 より良い大学生活をサポートするには―コミュニティ・アプローチの視点を導入した学生支援
 第4章コミュニティ研究
  4-1 コミュニティに愛着を持つとは
  4-2 子どもの安全をどう守るか―写真投影法による安全・安心マップの作成
  4-3 組織における居場所とは―組織視点の心理測定から、個人視点の心理測定への変遷
  4-4 高齢者にとっての居場所とは―市民・大学・自治体の協働研究
  4-5 インターネットから生まれるコミュニティとは
  4-6 インターネット上にコミュニティはあるか―“地域”にとらわれないコミュニティの可能性
 第5章ダイバーシティ
  5-1 異なる文化を持つ人たちと仲良く暮らすには―中国帰国者の適応過程と援助体制
  5-2 カルト問題とコミュニティ―カルト脱会者における家族関係の認知変化
  5-3 性同一性障害当事者の体験を援助に活かすには――正版GTAを用いたプロセス理論の生成
 第6章プログラム開発・評価
  6-1 支援をおこなう前にすることとは―心理援助サービスにおけるニーズアセスメントの視点
  6-2 子どもが育つコミュニティの組織化―子育て支援コーディネーター養成プログラム開発の試み
  6-3 失業者に対する心理的援助プログラムの開発―失業者が自分らしいライフキャリアを歩むために
  6-4 学校現場で求められる心理教育とは―プログラムの開発と評価
  6-5 スポーツハラスメントを予防するには―ハラスメントを防ぐチーム風土づくり
  6-6 プログラムを評価するとは―人生リバイバルプログラムの評価研究

第Ⅲ部:研究に取り組む
 第7章研究方法
  7-1 研究を始めるにあたって
  7-2 量的研究からのアプローチ
  7-3 質的研究からのアプローチ
  7-4 論文・報告書をまとめる

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