教員紹介

もりやま しんや

護山 真也

哲学・芸術論 教授

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最近の研究のことなど

道元のことなど

 2017年以降,教員ブログを更新していませんでした。元号も切り替わったことだし,更新していなかったあいだのことなど,まとめてみたいと思います。まず特記しておきたいのは,いろいろな経緯で道元の時間論について研究をはじめてしまったということですね。インド仏教の研究者としてサンスクリット語やチベット語の文献を相手にしてきたのに,因明研究をはじめたあたりから,漢文文献も少し読むようになり,とうとう日本仏教まで来てしまいました…。しかも,道元。同僚の三谷先生を介して,京都大学の出口康夫先生に出会ったのが転機になりました。出口先生が研究代表であるJSPS先導的人文学「道元の思想圏:分析アジア哲学的アプローチ」に加えていただき,時間論の専門家である佐金武先生とともに,道元の時間論を研究しています。人文学部の紀要にもひとつ論文を書いています。

比較思想のことなど

 比較思想の関連では,仏教認識論を中心に現象学や心の哲学などとの比較を続けています。昨年度の比較思想学会(日本大学)では,末木文美士先生を中心に「仏教学のフロンティアと比較思想」のパネルが組まれ,そこでも比較思想から見た仏教認識論について提題をさせてもらいました。その延長で,師茂樹先生を介して,『現代思想』にも「仏教哲学の可能性」を書くチャンスをいただきました。また,アメリカ哲学協会(American Philosophical Association)のニュースレター(APA Newsletter)の特集「世界の仏教哲学―視点と展望」(Buddhist Philosophy Worldwide: Perspectives and Programs)に依頼され,日本の仏教学の特色を紹介するために,中村元と井筒俊彦に注目して,お二人の比較思想的な仏教学へのアプローチについて紹介しました。(リンクから読むことができます。)

因明学のことなど

 私が担当した科研は終わりましたが,現在は筑波大学の小野基先生が中心となり,因明学の共同研究は継続しています。小野先生の科研ではディグナーガの『正理門論』を中心に研究が進められる予定です。私の方は,どちらかといえば,シャンカラスヴァーミンの『因明入正理論』とその注釈に興味をもっています。また,稲見正浩先生と近世の因明文献についての調査を少しづつ行おうという話もあり,文献を求めて調査旅行を何度か行うことになりそうです。  これとは別に,師茂樹先生の科研「仏教論理学の比較論理学・比較哲学的研究:学際的研究のための基盤構築」にも加えてもらっていますので,因明文献も絡めつつ,「ダルマキールティ以前において,遍充関係はどの程度まで重要だったのか」ということを少し考えてみるつもりです。  この関連では,Wiener Zeitschrift fuer die Kunde Suedasiens 56/57に拙論 On dharmisvarupaviparitasadhana が掲載されました。2014年のウィーンで開催された国際仏教学会(IABS)での発表がもとになっています。ようやく出版されました…。

ヤマーリのことなど

 最後に,これからのことです。6/29-7/2にライプチヒ大学で国際ヤマーリ・ワークショップが開催されます。ヤマーリについては,以前にブログで書いたような気がしますが,プラジュニャーカラグプタの『認識論評釈荘厳』の注釈者です。プラジュニャーカラグプタは,インド仏教哲学を代表するダルマキールティの『認識論評釈』の注釈者です。そして,ダルマキールティは…。こういう注釈の伝統がインド思想の特徴ですが,後になるほど,煩瑣な議論も多くなりますが,有益な情報も多く盛り込まれていきます。このワークショップでは,ヤマーリ注に基づく未知の事柄がいろいろと報告されそうです。私は,ブッダの全知者性についてのヤマーリの見解をまとめます。

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