教員紹介

はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

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中国関係

「宋明理学国際論壇」参観記

開会式

 8月22・23日に上海の復旦大学で開催された「宋明理学国際論壇(曁上海儒学院第二届年会)」に参加してきました(「曁」は「および」、「届」は「回」の意です)。日本・アメリカ・韓国等の国外からの参加者も含め、総勢90名近くの研究者が集った巨大イベントです。朝8時45分から夕方6時半過ぎまで、一つの主会場と三つの分科会会場に詰め込まれて、研究発表と討議が行われました。昼食もそのうちのどこかで「弁当」をいただきましたし、夜のレセプションも大学の招待所のレストランで開かれましたので、二日間ずっと「缶詰」状態だったわけです。中国の学会では、研究報告をする人については宿泊費と食費を先方が負担してくださるケースがほとんどです。なので、開催費用は膨大な額になるはずなのですが、今回の「国際論壇」は、復旦大学哲学学院の予算で賄われていると仄聞しました。日本では(特に、国立大学では)、まず無理な話です。AIや生命工学の分野での躍進が報じられることの多い中国の学術界ですが、「宋明理学」(いわゆる「朱子学」「陽明学」)の領域においても、とてつもない勢いを感じずにはいられません。多くの方がご存じないかも知れませんが、この領域は、数十年前、日本が世界のトップに君臨していたのです・・・。

鹿鳴書店

 それはさておき、学会前日、友人たちと本屋巡りをしました。上海の本屋さんというと、福州路の本屋さん街が有名で、ここ最近はそちらばかりに行っていました。復旦大学の近くにも、かつては多くの書店がありましたが、やはりネット通販に押されて店じまいするところもいくつか出ているようです。そんな感じで店じまいしたと思っていた「鹿鳴書店」が新店舗を出したようで、そこに連れて行ってもらいました。やはりよい本屋です。その晩は、中国の親しい友人たちと会食しました。もちろんそこは「中国」ですので、「友達の友達」もおられましたが、皆で楽しくアルコール度数58度の白酒をいただきました。出て来た話題の中で特に興味深かったのは、1)老人介護、2)中米経済戦争、の話でした。1)については、どこまで本気なのか分かりませんでしたが、誰かが「日本に行って、養老しよう!」と叫んでました。中国でもこの問題は深刻化しており、「日本では老人ホームに入るのにいくらかかるのか?」と何度も聞かれました。数字に弱い私(およびもう一人の日本人)が「ピンからキリまである」と言っても、「平均いくらだ?」と重ねて聞かれました(どなたかご教示ください)。2)に関しては、「ここ最近の日中関係は良好だよな?」と聞かれたので、「そうだね」と答えたら、「だって、今や中国人は皆アメリカのほうが嫌いなんだから!」とのことでした(トランプさんに感謝すべきなのか・・・?)。さらには、「日本はアメリカの言いなりになって、後悔していないのか?」とも聞かれました。いきなり難癖つけられて戸惑っているような印象を受けました。

復旦大学光華西楼24階

 話を学会に戻しますと、私自身は、晩明の劉宗周という思想家について研究発表をしました。私が発表した時間帯のその分科会場は、「劉宗周」関連の発表者が揃ったため、極めて密度の濃い有益なブースになったのではないかと思います。本来は、別の大先生の通訳のために来場されていた方がその間ずっと横に座って通訳をしてくださったため、本当に助かりました。発表原稿を翻訳してくれた申さん・劉さんに対する感謝とともに、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

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