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はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

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中国関係

杭州便りその20裏

「その20表」(まだ読んでないかたは、そちらを先にご覧ください)で紹介し切れなかった地点について、引き続き紹介していきたいと思います。まず、「黄龍洞」です。ここだけ「寺」でも「廟」でも無いわけですが、もともとこの地は宋代に慧開というお坊さんが寺を建てて修行したところらしいので、初詣でとして行ってみました。もっとも、観光バスが大行列を成してここに向かっていたので、好奇心が湧いたというのが本当のところですが。前にもここに書きましたように、ここは今では「縁」をテーマにした民俗公園になっていて、久しぶりに行ってみて、以前にも増して「パラダイス」化していることに感動しました(ここでの「パラダイス」の用法は、桂小枝氏のそれに拠っています。この話が分からない人は、「探偵ナイトスクープ パラダイス」で検索してみてください)。

上の写真は、黄龍洞で見つけた運試しゲームのような設備です。お金を払ってコインをもらい、そのコインを投げて、蓮の花のなかにコインがうまく入ると子供の笑い声が鳴り響くという、気味の悪い遊具です。「何、何、ここパラダイス?」(しつこいですが、桂小枝氏の口調で読んでください)と思いつつ、黄龍洞の中をさらに歩くと、別のオブジェクトを発見しました。右側の写真がそれですが、「黄龍童子」という吉祥形象で、子供二人が円環を成しています。説明書きに拠れば、童子のお尻に触ると霊験があるとかで、確かにお尻の辺りだけ色が変わっています。皆に触りまくられ、すり切れてしまったのでしょう。何だかビミョウに切ない気持ちに襲われながら、私も、何度もすりすりしてしまいました。今のところ霊験は確認できておりません。

話変わって、東岳廟・法華寺・霊順寺です。「東岳廟」「法華寺」は留下街道という、杭州の西側の地域にあり、ちょっと遠いのでここに行く時はバスを利用しました。「西渓留下」と言えば、歴史的には西湖にも匹敵する景勝地で、ここ最近は「西渓湿地公園」がスローライフを求めるセレブたちの人気の的のようですが、この地域の歴史風土を担ってきたのは東岳廟・法華寺のほうです。もっとも、今あるものはどちらもこれまた最近になって再建されたものですが。この近辺は、「西山森林公園」として登山道が整備され、多くの人で賑わっていました。子供連れや杖を突いた老人たちも含めて多くの人が山から下りてくるので、法華寺に参った後、ついつい山道に足を踏み入れてしまいました(登り口には確かに「遊歩道」と書いてありましたし)。結構な角度の登り道がしばし続き、すぐに後悔しましたが、今更下りるわけにもいかず、雪の残る石畳をとぼとぼと上がっていきました。登った先は「北高峰」といって、蘇東坡も康煕帝も乾隆帝も毛沢東も登った(と説明に書いてありました)有名な山頂です。西湖から西の方面を見上げると鉄塔のある高い山が目につきますが、その山が北高峰です。そこを東側に下りると霊隠寺があります。そちら側にはロープウェイもあり、そちらから上り下りするほうが一般的なルートでしょう。登って始めて知ったのですが、山頂には、「霊順寺」というお寺がありました。もっとも、ここは「天下第一の財神」さまが有名で、庶民には「財神廟」と呼ばれているとのことです。中は、ご利益を求める善男善女だらけで、皆さん火の着いた線香を手に持っているので、買ったばかりのジャンパーに火が着かないか、そればかり気になってしまいました。

霊順寺から少し下りると、「北高峰索道」、つまりロープウェイの乗り場がありました。このロープウェイの存在は15年前から気になっていましたが、正直、安全性に懸念(偏見?)があって今まで乗ったことがありませんでした。しかし、今の私には、杭州市内の儒・仏・道の神さま・仏さま・聖人さまのご加護があるはずです。下山料20元を支払って、喜々として列に並びました。6人掛けの小さな乗り物が4つ(最後尾に荷物運搬用の箱も着いて)一緒にガーと下りていくのです。6人掛けのはずでしたが、7人目として詰め込まれました(子供が1人いたので、それでもOKだったようです)。傍目で見ていた時はすごいスピードで下っていたように感じたのですが、いざ乗ってみると意外な安定感でした。満足して出口をくぐると、下の乗り場前には、霊隠寺に参った後にロープウェイで霊順寺にも上がろうという人々で、上とは比べものにならないほどの大行列ができていました。西から登って下山だけ利用して良かったと心底思いました。大行列の横では、パラダイス感満載の財神さまがお客さんたちを歓迎してくれていました。

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