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はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

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中国関係 寧波プロジェクト

二老閣

最初に断っておくが、今回の調査では、半浦鎮の「二老閣」の遺址を見つけることができなかった。

再び『書城瑣記』から引用すると、「浙東の蔵書家と言えば、范氏の天一閣以外では、鄭氏の二老閣を推さねばならない。二老閣は220年以上の歴史をもち、その歴史の長さは、わが国古代の蔵書楼の中では稀な存在である」(同書143頁「二老閣始末記」)。

中国思想史をかじっている人間として、二老閣には非常に興味がある。二老閣を建立した鄭性の父親は、黄宗羲の弟子の鄭梁(寒村)だし、この蔵書楼は 黄氏の蔵書も引き継いだからだ。『明儒学案』の「二老閣本」と言えば、「ああ、あの」と思い当たる(同業者の)方も多いであろう。

すでに現在では、蔵書も建物もほとんど残っていないようだ。囲墻の一部は現存するそうなのだが、今回は私の準備不足もあって、実見することができな かった(何かご存じの方は、情報をお寄せください)。ただ、半浦鎮を見ることができたのは、収穫だった。下の写真は、半浦鎮で見た船着き場の様子である。

haya42.jpg

この姚江を渡って、黄宗羲たちも移動したことであろう。「姚江学派」という言葉の重みを実感した調査だった。     haya43.jpg

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