人文学部からのお知らせ

人文学部・松本昇准教授らのグループがネガティブな自己概念の形成と更新に関する研究を発表しました

ネガティブな自己概念はどのように形成され更新されていくか?


実験とシミュレーションによる個人差の検討


【概要】
うつ病をはじめとする精神疾患では,「自分は無能だ」「自分は人生の敗北者である」といったネガティブな自己概念を保持する傾向にあります。しかしながら,どのように自己概念が形成され,更新されるのか,それらに個人差はあるのか,といった疑問については,科学的にも未解決のままです。


信州大学人文学部 松本 昇 准教授,国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院情報学研究科 片平 健太郎 准教授(研究当時),追手門学院大学心理学部 川口 潤 教授らの研究グループは,ヒトが抱くネガティブな自己概念がどのように形成され,更新されていくかを,心理学実験およびシミュレーションによって検討しました。その結果,(a)経験した出来事の感情価(ポジティブ/ネガティブ)と,(b)その出来事の自己一致度(自分らしいと思うかどうか)の2つの要因によって自己概念の更新が行われることが示されました。さらに,人生の初期においてネガティブな出来事が先行すると,その後の人生において多くのポジティブな経験をしたとしてもネガティブな自己概念が強固になってしまう事例がシミュレーションによって示され,この傾向は認知的反応性と呼ばれる,ネガティブな気分に対して過剰に反応しやすい傾向を持つ者(例:憂うつなときは,自分の少しの間違いも許せなくなる)に現れやすいことが示唆されました。


これらの研究知見は,良い環境にあっても精神疾患に陥ってしまう個人が存在する理由を示唆するものであり,自己概念に関する研究を進展させるものです。


【論文情報】
題目:Cognitive reactivity amplifies the activation and development of negative self-schema: A revised mnemic neglect paradigm and computational modelling
著者:Noboru Matsumoto, Kentaro Katahira, & Jun Kawaguchi
掲載誌:Cognitive Therapy and Research
日付:2022年10月10日
DOI:https://doi.org/10.1007/s10608-022-10332-x


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