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20181023中国語サロン ショパンと花と大砲と

この日の中国語サロンは、学生、院生、参加いただいているネイティブ非常勤講師の先生方等、全部で10人参加でした。

参加学生T君から質問があり、授業で使用しているテキストに“尊”の量詞用法があったが、大砲を数えることができるというのは本当ですか?という内容でした。テキストでは“……,犹如一尊活佛”=「まるで(一体の)生き仏さまのようでした」の形でしたが、じゃあ大砲を数える用法を見てみようということで検索をかけると、こんな例文が出てきました。

https://zhidao.baidu.com/question/487740171910705372.html
“肖邦的作品是藏在花丛里的一尊大炮”是什么意思?
句子里的“花丛”、“大炮”分别是什么意思?
推荐于2017-11-26
德国作曲家舒曼对肖邦的评价,指肖邦作品在绚丽色彩外表中隐藏的革命力量。“花丛”是指他的作品多姿多彩,外表华丽,但不乏革命性,像“大炮”一样,能给敌人以有力的打击。

“肖邦 Xiao1bang1”とはピアノ曲で有名なポーランドの作曲家ショパンのこと。“肖邦的作品是藏在花丛里的一尊大炮”とは「ショパンの音楽作品は花の中に隠れている大砲である」という意味で、ドイツの作曲家シューマン“舒曼Shu1man4”がショパンを評した有名な言葉であり、その中国語訳についての質問と回答が上記サイトの内容でした。
ショパンやシューマンって中国語でこんな風に表記するんですかとも他学生コメント。他にもいくつか大砲を“尊”の量詞用法で数えている実例を確認すると、T君「日本語の『尊』のイメージと全然違いますね」と感想。「尊」の字と言えば、日本語では「尊敬」「尊称」といった崇め奉るイメージが専らで、量詞方法は欠片もないところに日本語中国語のギャップが先ず存在し、更に尊敬というプラスイメージとは寧ろ離れた印象のある「大砲」と結びつくことで二重のギャップを感じ、それが質問に繋がったのかと推察します。

なおシューマンによるショパン評ドイツ語原文は“Chopins Werke sind unter Blumen eingesenkte Kanonen.”( 参考サイト:http://www.eonet.ne.jp/~anton9ban/Chopinbasepage.htm)。中国語訳では“花丛里”ですから、“丛”=叢(くさむら)状態で美しい花々が咲き乱れているその中に大砲が潜んでいるという意味です。しかし、岩波ジュニア文庫で「花束の中に隠された大砲」(アマゾンhttps://www.amazon.co.jp/dp/4005006655)と訳されているものがあります。花束は文字通り束状であって、通常は人が抱えられる程度の大きさですから、大砲なんてでかい物が潜みようがありません。
原語“unter Blumen”は英語“under flowers”に相当し、これが花束程度の大きさでも使うことができるのか私には分かりませんが、この場合は訳として「花束」より“花丛”の方がしっくりくるのではないでしょうか。“-束”“-丛”といった漢字を使う中国語は、花がどのような姿で存在しているのか、ビジュアルイメージを具体的に伝える力が実に強いものだと感じます。

◎中国語サロンは毎週火曜昼休み(12:10~13:00)、信大人文ホールの西側隅っこで開催しています。些細な質問でも中国語の宿題でも、中国語ネイティブの方に尋ねてみたいことがあればお気軽にどうぞ。

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