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複数の遺伝子座を用いた系統関係から明らかとなったユーラシア東部に分布するハナイグチとその近縁種の分類

研究

黄褐色(<i>S. grevillei</i>、左)と赤茶色(<i>S. orientalis</i>、右)
黄褐色(S. grevillei、左)と赤茶色(S. orientalis、右)

宮本裕美子 特任准教授(社会実装研究クラスター山岳科学研究所)らの研究グループは、東ユーラシアのカラマツ林に発生するハナイグチとその近縁種について再分類を行い、隠ぺい種を確認しました。

ハナイグチは北半球のカラマツ林に発生する外生菌根性の食用きのこです。国内にはきのこ(子実体)の傘が赤茶色と黄褐色の2型が知られていました。しかし遺伝子解析を用いた詳細な種の区別はなされていませんでした。

本研究グループは、国内の中部山岳地域と東シベリアで採集したハナイグチとその近縁種の子実体について、形態的特徴を詳細に記録し、遺伝子解析により系統関係を明らかにしました。結果、国内のハナイグチは系統的に赤茶色(Suillus orientalis)と黄褐色(Suillus grevillei)の異なる2種に分かれることを発見しました。さらに北米に発生する赤茶色(Suillus clintonianus)とも別種であることが確認できました。菌類の種の多様性については未だ分かっていない部分が多くあります。本研究は、そのような菌類の多様性を明らかにし、分布や起源を解明するうえで重要な役割を果たします。

本研究成果は、2025年11月20日に、日本菌学会の国際誌「Mycoscience」のオンライン版に掲載されました。
詳細については、以下からご確認ください。

タイトル:The multi-locus phylogeny reveals a cryptic species within the Suillus grevillei complex in eastern Eurasia(複数の遺伝子座を用いた系統関係から明らかとなったユーラシア東部に分布するハナイグチとその近縁種の分類)
著者:Yumiko Miyamoto 1, Yutaka Tamai 2, Trofim C. Maximov 3, Atsuko Sugimoto 4, Akiyoshi Yamada 5
著者所属:1信州大学社会実装研究クラスター山岳科学研究所, 2北海道大学大学院農学研究院, 3ロシア科学アカデミー北方生物圏問題研究所, 4北海道大学北極域研究センター, 5信州大学学術研究院(農学系)
DOI:https://doi.org/10.47371/mycosci.2025.09.002

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