「 (−)-Mucocinの全合成」研究がEuropean Journal of Organic Chemistry誌に掲載されました
天然物合成化学研究室 櫻井杏実さん(修士課程2年)、真壁秀文 教授らは、バンレイシ科植物Rollinia mucosaの葉から単離・構造決定されたアセトゲニン類である (−)-Mucocinの全合成を達成しました。本研究成果はEuropean Journal of Organic Chemistry誌に掲載されました。
(−)-Mucocinは1995年にMcLaughlinらによりバンレイシ科植物Rollinia mucosaの葉から単離・構造決定されたアセトゲニン類で、腫瘍細胞株に対し強力な細胞毒性を示すことが報告されています。そこで、詳細な生物活性評価のための試料供給を目的とした(−)-mucocinの合成研究に着手しました。
(−)-Mucocinは、テトラヒドロピラン (THP) 環、テトラヒドロフラン (THF) 環、α,β-不飽和-γ-ラクトン環構造を有しており、そのうちTHP環は2,6-cis-THP環構造を有しています。本研究では、これまでに当研究室で報告されたパラジウム触媒を用いた立体選択的オキシパラデーションを鍵反応として2,6-cis-THP環を立体選択的に構築し、(−)-mucocinの全合成を達成しました。
【論文タイトル】Synthesis of (−)-Mucocin using a Diastereoselective Oxypalladation and Cross-Metathesis
著者名:Ami Sakurai 1, Shuya Yamaguchi 1, Yasunao Hattori 2, Atsushi Kawamura 3, Hidefumi Makabe*, 3
著者所属:1信州大学大学院総合理工学研究科 農学専攻 食品生命科学分野, 2京都薬科大学共同利用機器センター, 3信州大学学術研究院(農学系)
DOI:https://doi.org/10.1002/ejoc.202500990

