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農学部農学生命科学科植物資源科学コース4年の赤羽優乃香さんが糸状菌分子生物学コンファレンスにおいて企業特別賞を受賞

研究

赤羽優乃香さん
赤羽優乃香さん
賞状
賞状

2025年11月17日~18日に名古屋大学で開催された第24回糸状菌分子生物学コンファレンスにおいて、微生物植物相互作用学研究室の赤羽優乃香さん(学部4年)がポスター発表を行い、「企業特別賞(三井化学クロップ&ライフソリューション賞)」を受賞しました(受賞日:11月18日)。

植物病原糸状菌である炭疽病菌(Colletotrichum属菌)の胞子は、植物上に接着すると湿潤条件で容易に発芽します。その後、発芽管の先端にメラニン化した黒い感染器官(付着器)を形成して内部の膨圧を高める物理的侵入能により宿主植物に侵入(MAE)するのが一般的です。一方で、胞子の発芽後に周囲に糖が存在すると付着器の形成が抑制され、伸長した発芽管様の菌糸の先端から宿主植物に直接侵入する方法(糖誘導型HTE)も1菌株で報告されていました。本研究では、糖添加により植物への侵入様式がMAEからHTEへシフトする傾向を指標に60株以上のColletotrichum属菌に対する網羅的解析を実施し、数株の糖誘導型HTE菌と25株以上の推定糖誘導型HTE菌を新たに同定しました。Colletotrichum属菌群の系統分化と糖誘導型HTEに相関関係は見出されず、MAEと同様にHTEも本属菌が潜在的に有する植物侵入様式の1つであることを示唆しました。糖でHTEを誘導する複数株のMAEとHTEをそれぞれ比較したところ、興味深いことに、付着器内に高い膨圧を発生するMAEより、付着器非依存で膨圧も低いと推定される糖誘導型HTEの方が高い植物侵入能を示して壊死病斑を形成しやすいことも確認されました。以上の結果と、当研究室で見出した糖誘導型の胞子発芽を示す菌株の知見を踏まえ、Colletotrichum属菌の感染特異的形態分化の制御に糖が重要なシグナル因子として機能することを明らかにしました。
今回の受賞は、多くの炭疽病菌が周囲の糖環境に応答して感染特異的形態分化を制御する巧みな感染戦略をもつ可能性を示したことが、植物保護の発展に寄与する研究として評価されました。
受賞演題は以下のとおりです。

Colletotrichum属菌の糖により制御される植物感染特異的形態分化」
〇赤羽優乃香 1,佐々木優 2,白鳥倖誠 1,和泉尚登 1,坂本茉由 1,入枝泰樹 3
1信州大学農学部,2信州大学大学院総合理工学研究科,3信州大学学術研究院(農学系)

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