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医学系研究科循環病態学教室の田中愛研究員が、第46回日本心脈管作動物質学会で研究奨励賞最優秀賞を受賞しました

2017年02月15日 [受賞]

表彰式。右側は学会長の筒井正人先生(琉球大学大学院医学研究科 薬理学教授)
表彰式。右側は学会長の筒井正人先生(琉球大学大学院医学研究科 薬理学教授)

若手研究奨励賞表彰式
若手研究奨励賞表彰式

平成29年2月10日~11日に琉球大学医学部で開催された日本心脈管作動物質学会において、田中愛さん(医学系研究科循環病態学教室博士研究員)が、第46回日本心脈管作動物質学会の研究奨励賞(Young Investigator Award)最優秀賞を受賞しました。受賞対象となった研究課題は、「アドレノメデュリン-RAMP2系は、EndMTと転移前土壌形成を抑制し、癌転移を抑制する」です。本研究で田中さんは、心脈管作動物質であるアドレノメデュリン(AM)と、その受容体活性の調節タンパク(RAMP2)の癌の転移における意義を明らかとしました。
田中さんは、成体において血管のRAMP2遺伝子欠損を誘導することが可能な遺伝子改変マウスを作製し、遺伝子欠損誘導後に生じる血管の変化に着目した検討を行いました。AM-RAMP2系は血管の恒常性を制御し、血管内皮細胞のバリアー機能を維持することで、原発巣からの癌細胞の血行性転移を抑制しています。一方で、AM-RAMP2系の機能が破綻すると、原発巣の血管では”内皮間葉移行”(Endothelial-to-Mesenchymal Transition: EndMT) が生じ、癌細胞が転移しやすい状況になると同時に、転移予定先となる肺においても血管の炎症が生じ、炎症細胞から腫瘍細胞遊走因子などが産生され、癌細胞の転移を促す遠隔臓器の環境 = ”転移前土壌”が形成されることが明らかとなりました。さらに田中さんは、AM-RAMP2系を賦活化すると、癌の病的な血管が正常化することで転移が抑制され、生存率が改善することも示しました。以上の結果から、AM-RAMP2系の賦活化は癌転移を抑制する新しい治療法に繋がることが期待されます。
近年、心房性利尿ペプチド(ANP)などについても癌転移抑制作用が報告されました。AMやANPなどの心脈管作動性ペプチドについては、これまで未知であった新しい生理活性が、遺伝子改変動物を用いた病態モデル解析研究により明らかにされ、その多彩な生理機能が再注目を集めています。田中さんの発見は、未だ治療法が確立されていない疾患(アンメットメディカルニーズ)に対する新規治療法につながる可能性が期待されます。


疾患予防医科学系専攻 循環病態学教室ホームページ:
http://www7a.biglobe.ne.jp/~shindo/

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