教育研修

新人研修

当薬剤部では、新人教育に特に力を入れています。新人研修は「集合研修」と「ローテーション研修」より構成されています。
「集合研修」では、医療安全や感染症などの内容を、講義形式もしくは症例を用いた演習形式で学びます(表1参照)。
6月頃より、調剤室(注射)、製剤室、試験室、通院治療室(特殊製剤室)、医薬品情報室等を一期間5週間ずつの「ローテーション研修」で学びます(表2参照)。ローテーション研修では、部署ごとに教育プログラムを組んでいるため、教育内容が均一になるようにしています。さらに、新人と指導薬剤師が面談する機会を設け、進捗状況を定期的に確認します。
新人は病棟薬剤業務も行います。ローテーション研修期間中より、入院患者さんの面談や持参薬の鑑別業務、服薬指導を行っています。
新人研修では、各部署での業務の実践にとどまらず、一つ一つの業務の意義を理解してもらうことを目的としています。

表1

項目研修内容
処方せん監査 過去の疑義照会事例の検討・処方解説
接遇 接遇・マナーに関する事項
麻薬 麻薬の取り扱い
医療安全 インシデントレポートの記載方法
薬に関する医療事故事例
吸入指導 吸入指導の手順と実践
ICT(感染制御) ICTにおける薬剤師の役割・症例検討
NST(栄養療法) NSTにおける薬剤師の役割・症例検討
がん・緩和ケア がん領域における薬剤師の役割
緩和ケアにおける薬剤師の役割
臨床研究・倫理 当院における臨床研究と倫理
学会発表・論文投稿
・研究
その必要性について
日常業務での研究項目(過去の実績等)

表2

6/4~
7/6
7/9~
8/10
8/13~
9/14
9/18~
10/19
10/22~
11/22
11/26~
12/28
新人A 製剤・試験・通院 製剤・試験・通院 内服・外用 内服・外用 注射払出 医薬品情報
新人B 内服・外用 内服・外用 注射払出 医薬品情報 製剤・試験・通院 製剤・試験・通院
新人C 注射払出 医薬品情報 製剤・試験・通院 製剤・試験・通院 内服・外用 内服・外用

新人薬剤師の感想

新人A

新人研修は、接遇や処方鑑査などの基礎的な内容から、医療用麻薬やNST、ICTなど実践的な内容に至るまで様々な講義を受ける集合研修と、各部署に5週間から10週間ほど実際に配属されるローテーション研修とがありました。
ローテーション研修では、先輩方に非常に丁寧なご指導をいただき、各部署の業務内容はもちろん、病棟業務にも活かせるような実践的な内容を多く学びました。各部署で達成すべき事柄を明確に提示され、定期的に主任と面談をして達成度を確認したので、自分に足りていないものが分かりやすく、目標が立てやすかったです。全ての部署を回ったことで初めて薬剤部の業務が全体としてどう動いているのかを理解できたようで、新人研修を終えてからの方が働きやすくなったと感じました。何より、各部署の先輩方に一通りお世話になり交流を深められたことが、互いに連携して毎日の業務を進める上でのかけがえのない財産になっています。

新人B

新人研修は調剤室、医薬品情報室、製剤室、試験室、通院治療室で各部署5週間ずつ行われました。調剤室では投薬窓口での患者対応や正確な調剤のためにどうすべきか考えることの重要性などを学び、多くの経験を積むことができました。医薬品情報室では院内採用薬の登録手順、処方オーダーシステム等を学び、業務を行う上で必要な情報が得られました。試験室では、主にバンコマイシンの投与設計を行い、指導薬剤師とディスカッションを実施した上で医師に投与計画の立案をしました。検体が院内外問わず集まり、薬剤師が血中濃度を測定、薬学的な観点から評価、投与計画の立案まで一貫して行う施設は全国的にも珍しく印象深い部署でした。新人研修が終了した現在は調剤室に配属となり、忙しい業務の中で情報を得る難しさを痛感しており、働きながらも時間をかけて学べる期間をくださった当院薬剤部に感謝しています。

新人C

新人研修は6月~12月の期間、薬剤部の各部署(調剤室・払出室・製剤室・試験室・通院治療室・医薬品情報室)をローテーションして行われました。調剤室・払出室では一般的な調剤のほか、過去の疑義照会例を用いた講義が行われ、実臨床の薬学的知識を身に着けることができました。製剤室ではTPN調製はもちろんのこと、正確かつ安全な抗がん剤の調製法を学ぶことができました。試験室ではバンコマイシンやテイコプラニンの投与設計を行いました。TDMの結果がそのまま治療方針に反映されることが多いため責任感とやりがいを感じられました。通院治療室では化学療法の初回指導について学んだり、患者さんの精神面への配慮も学びました。NSTやICTの講義では実例を用いてTPNの成分組成や抗菌治療の考え方を学びました。さらに10月からは病棟業務が始まり、医師、指導薬剤師、看護師と日々ディスカッションを重ねつつ、早期からチーム医療に携わることができました。

早朝セミナー

高度医療・先進医療を担う大学病院において薬剤業務の質的向上を目指して、毎週水曜日の早朝(業務前)に、論文紹介および症例報告を行っています。
論文紹介では、薬物治療に関する最新の知見を紹介し、皆で活発に議論しています。
症例報告では、直近で関わった症例を提示し、薬物治療の様々な問題点の洗い出しや解決方法について議論し、情報交換や知識の習得を図っています。先輩の薬剤師や各種認定・専門の資格を有する薬剤師が専門知識を活かして適切なアドバイスや質問をしてくれます。症例報告用紙のフォーマットは、「症例チャートからみる服薬指導ガイド 薬学的管理とその解説 2005-2006(南山堂)」を利用しています。

薬学部実務実習

実務実習

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当薬剤部では、薬学部5年生の実務実習生を積極的に受け入れています。モデルコアカリキュラムに準拠した内容にとどまらず、当院で実施している業務にも積極的に取り組んでもらっています。以下に内容の一部を示します。

項目研修内容
調剤室 内服薬、外用薬、注射薬の調剤実習を行います。基本的な業務ですが、患者さんの臨床検査値やバイタルサイン等を確認し、患者さん一人一人にとって適切な処方であるかを検討の上で調剤を行います。
医薬品管理室 毒薬、劇薬、麻薬、向精神薬、特定生物由来製剤等の取り扱いを、薬事関連法規と関連づけながら理解していきます。また、納品の際に医薬品卸売業者と話す機会があり、医療機関と医薬品卸売業者との関係を学ぶ機会もあります。
手術室 手術室における薬剤師業務を学びます。手術室には、厳重な管理を要する薬が数多くあります。手術室での薬剤師業務を学ぶことは、多くの薬学生にとって興味深い内容のようです。
医薬品情報室 当院での採用医薬品を決定する「薬事委員会」に参加します。そのための処方データ抽出、既存薬と比べた時の新薬の優劣の評価等を行います。また、「副作用報告」を行うことで、当院で発生した副作用が、どのように厚生労働省まで報告されるのかを学びます。
製剤室 中心静脈栄養(TPN)や院内製剤の調製等を学びます。特に、院内製剤は市販されていない薬を学生たちが自ら調製するため、多くの薬学生にとって興味深い内容のようです。
試験室 実際の患者さんの血中濃度を測定し、その結果を医師や病棟薬剤師にフィードバックし、処方提案や、今後の治療方針を検討します。
薬物治療・医薬品管理指導室 病棟担当薬剤師の指導の下、患者さんを担当し、服薬指導、治療効果や副作用モニタリングを行います。病棟では医師や看護師とコミュニケーションをとることで、患者さんにとって最適な薬物療法の実践を学ぶことができます。
チーム医療 病棟業務を学ぶ中で、カンファレンスや回診に参加してもらうことがあります。また、救命救急センターのカンファレンスや、精神科病棟の回診にも参加してもらい、多職種間での意見交換を行います。
他部署見学 病院には薬剤部以外にも様々な部署があります。輸血部、放射線部、臨床検査部等を見学することにより、医療の全体像を理解することができます。
報告会 実務実習の最終週には、報告会を行います。報告会の前には、指導薬剤師によるプレゼンテーションの資料チェックやプレゼンテーションの練習を行うことで、分かりやすく伝える方法や質疑応答の技術を学びます。薬剤部員や教員達を前にした報告会では、薬学生の皆さんは緊張の中発表しますが、やり遂げた後の学生は皆、達成感に満ちあふれています。

アドバンスト実習

薬学部6年生によるアドバンスト実習に関しても、実務実習同様に積極的に受け入れています。病棟実習や研究テーマを含む実習内容は、学生自身と所属大学、当院薬剤部との話し合いの上で決定します。
これまでにアドバンスト実習で取り組んだ調査・研究の成果を学術大会や学術雑誌に発表しています(下記参照)。興味のある方はぜひご連絡下さい。

橋本麻衣子,瀬角りほ,三村享,春日恵理子,松本剛,本田孝行,濱本知之,山折 大,大森栄:基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生Escherichia coliを原因菌とする尿路感染症リスク因子の探索.日化療法誌.66;749-757,2018.

橋本麻衣子,瀬角りほ,三村享,春日恵理子,松本剛,本田孝行,濱本知之,山折 大,大森栄:ESBL産生E.coliを起因菌とする尿路感染症のリスク因子の探索.第25回日本医療薬学会年会,一般演題(口演),横浜市,2015年11月.

Hashimoto M, Maniwa N, Katsuyama Y, Mimura A, Kasuga E, Matsumoto T, Kanai S, Honda T, Takano A, Momose Y, Yamaori S, Ohmori S: The relationship between the use of meropenem, a carbapenem antimicrobial agent, and the P. aeruginosa resistance for meropenem. The 28th International Congress of Chemotherapy and Infection, Poster presentation, Yokohama (Japan), June 2013.

医学部臨床実習

臨床実習

医学科学生に対する臨床実習(クリニカルクラークシップ)を、4年次後半から5年次前半にかけて、隔週木、金曜日に行っています。
薬物療法時の薬剤部の役割を理解し、また処方から与薬までの各過程を把握し、適切な薬物療法を行う上で必要な注意点を知ることを目的として、実習を行っています。
主な実習項目は、調剤(処方せんの読み方、内服・外用薬・注射薬の調剤)、医薬品管理、医療安全と薬、処方鑑査、医薬品情報、バンコマイシンの薬物投与設計法、臨床研究におけるインフォームドコンセント、薬物代謝酵素の遺伝子多型解析です。

薬剤師の再教育

信大病院は薬剤師の再教育に積極的に取り組んでおり、薬局薬剤師に対して在宅TPNの無菌調製技術等を教育しています。これからは薬局でも在宅TPNの調製が必要になるため、TPNの知識、技術の習得は重要になると考えています。

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