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長崎 健一 先生(ソフトバンク株式会社 人事本部長)の講義が行われました

長崎 健一 先生(ソフトバンク株式会社 人事本部長)の講義が行われました

2018. 05.16

  • 現代産業論

 平成30年5月16日、平成30年度現代産業論 (産業論特論) 第4回の講義として、ソフトバンク株式会社 人事本部長 長崎 健一氏から「Smart & Fun! ITでスマートに楽しく!ソフトバンク流 働き方改革」と題して講義が行われました。

 最初に、「人事とは何か?」と人事の存在意義を問われ、「人」と「事業」をつなぎ、成長し続ける会社をリードする存在であると述べられました。会社が成長し続けるための絶対必要条件に「ヒト」「モノ」「カネ」を挙げられ、その中で「ヒト」は、1か月、1年でなかなか変えられず、長期的な視野が必要であることを述べられました。そして、人事は未来をつくる仕事であり、社員の人生(採用~退職まで)にも大きな影響を及ぼす存在であること、時に引きおこるハラスメントや人間関係トラブルの解決も人事の大きな仕事であると経験を踏まえてお話されました。

 ソフトバンクは「300年以上成長し続ける」会社になることを掲げ、そのための人事戦略として、①「勝ち続ける組織」の実現、②「挑戦する人」にチャンスを、③「成果」に正しく報いる、という3つの人事ポリシーを定めています。継続的な事業の成長・成功を実現するためには、「勝ち続ける組織」であることが不可欠であり、そのためには自分自身の成長に向けて「挑戦する人」にチャンスを与え、「成果」を出した人にはきちんと応えることが重要です。すなわち「人を大切にする会社」は、まず会社自身が「勝ち続ける会社」、「圧倒的な成長のフィールドがある会社」でなければならないとお話しいただきました。

 次に、その基本ポリシーを踏まえ、ソフトバンクグループの歴史を説明されました。ソフトバンクグループというと、携帯電話会社のイメージで捉えられがちですが、1981年の創業後、今日にいたるまで流通~出版~通信と拡大してきた事業は、すべて「情報革命」の理念を軸としていると説明されました。創業30年の節目を迎えた2010年に発表された「新30年ビジョン」は、ソフトバンクグループの未来を改めて定義するものであり、次の30年も引き続き情報革命で人々の幸せに貢献し、世界の人々から最も必要とされる企業グループを目指すという方向性を定めたものであると解説されました。このビジョン実現に向けての戦略として、2040年までに、①戦略的シナジーグループ(資本的結合×同志的結合)の構造を5000社規模に拡大、②世界時価総額200兆円で世界トップ10に入ること、を挙げられました。

 今後、人工知能(AI)のトランジスタ数は人間の脳細胞数を超え、人間以上のIQを持ち、あらゆるデバイスがインターネットに接続(IoT)されてビッグデータが蓄積・活用される、シンギュラリティ(技術的特異点)という人類最大のパラダイムシフトが起こることが予想されます。そのような未来を見据えて、情報革命時代のリーディングカンパニーとなり、情報革命をさらに加速させ、事業を通じて課題やリスクの解決策を見出すことに取り組んでいくと述べられました。

 そして、こうした事業環境の変化の中で、それに適応する働き方とは何だろう?と聴講する学生たちに問われ、ソフトバンクとしての答え、ソフトバンク流「働き方改革」は「Smart & Fun!」(効率的に楽しく)であると述べられました。その基本的な考え方は、ITの駆使やメリハリのある働き方(Smart)によって時間を創出し、創出された時間を新しい取り組みや自己成長に充てる(Fun)ことであり、単に残業時間を制限するといった表面的な取り組みでなく、「やるときはやる」というソフトバンクらしさを失わない働き方改革が重要であると解説されました。

 具体的には、メリハリのある働き方(Smart)として、通常よくあるようなコアタイムがあるフレックスでなく、コアタイムを撤廃して完全に勤務時間を自由に決められる「スーパーフレックスタイム制」の導入、育児・介護等により勤務時間の制約がある社員が週3回まで利用できる「在宅勤務」の導入などの取り組みを挙げられました。夜遅くまで働いた次の日は例えば3時間勤務にしてがっつり休むなど、メリハリをつけることにより、全体として勤務時間を効率化するのだと述べられました。

 また、業務効率化により創出された時間を自己成長への機会に活用(Fun)してもらうため、全社員を対象に月1万円を支援する「Smart & Fun!支援金」や、「プレミアムフライデー」の導入、そして、社外活動や他社との交流により社員が新しい刺激を受けてくるため、従来は原則禁止されていた社員の「副業・兼業」を、許可制で解禁するといった取り組みをしていることを解説されました。

 講義中は、学生に質問を投げかけ意見や考えを聞くなど、学生にとっては緊張感あふれる講義となりました。最後に、働き方改革で大切なことは、まずやってみないことには成果が出る取り組みであるかが分かるはずはないので、何事にも挑戦し、とにかくやってみることだと述べられ、講義を締めくくられました。

  • ソフトバンク(株)  人事本部長 長崎健一氏
  • 講義風景

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