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非喫煙者に多く発生するEGFR変異を持つ肺がん 遺伝子の個人差の積み重ねが危険因子となることを証明しました
2024年12月24日 [プレスリリース]
信州大学医学部外科学教室呼吸器外科学分野 清水公裕教授、国立研究開発法人国立がん研究センター(東京都中央区、理事長:中釜 斉)研究所ゲノム生物学研究分野 白石航也ユニット長、河野隆志分野長、愛知県がんセンター(愛知県名古屋市、総長:丹羽康正)がん予防研究分野 松尾恵太郎分野長など、全国11施設からなる共同研究グループは、国際共同研究により、EGFRという遺伝子の変異を原因として発生する肺腺がんの発生の危険要因を調べました。その結果、遺伝子多型と呼ばれる遺伝子の個人差の積み重ねにより、EGFR変異を持つ肺腺がんへの罹りやすさは、8.6倍高まることが分かりました。これらの結果は、タバコを吸わない方の肺がんの予防および早期発見に役立つと期待されます。
本研究成果は、2024年11月22日付で、国際学術誌「Journal of Thoracic Oncology」に掲載されました。
今回の研究によって、アジア人に多いEGFR変異を持つ肺がんの罹りやすさは、遺伝子多型の積み重ねによって大きく影響を受けていることが明らかになりました。今回の研究では東アジア人として危険度を算出しましたが、今後は日本人としての危険度の算出も行ってまいります。このような遺伝子の情報をもとに、EGFR変異陽性の肺がんに罹りやすい人(高危険群)を予測し、検診により早期発見できる可能性があると考えます。今回の研究成果をもとに、効果的な肺がんの早期発見手法を開発し、日本やアジアでの肺がん死亡の減少をめざしてまいります。
また、今回の研究に試料提供を頂きました肺がん患者さん、がんに罹られていない協力者の皆様に深く感謝いたします。
発表論文
雑誌名
Journal of Thoracic Oncology (オンライン版)
タイトル
Polygenic risk score and lung adenocarcinoma risk among never-smokers by EGFR mutation status-a brief report
掲載日
2024年11月22日
DOI
10.1016/j.jtho.2024.11.019
URL
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1556086424024821?via%3Dihub(外部サイトにリンクします)