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藤井千文助教が第34回日本がん転移学会で「女性研究者がん転移研究グラント賞」を受賞しました

 医学部医学科/バイオメディカル研究所 藤井千文助教が、第34回日本がん転移学会で「女性研究者がん転移研究グラント賞」を受賞しました。

 令和7年6月19日、20日に淡路夢舞台国際会議場にて行われた第34回日本がん転移学会学術集会・総会において、藤井千文助教(医学部医学科/バイオメディカル研究所)が「第3回女性研究者がん転移研究グラント賞」を受賞しました。この賞は、がん転移研究の将来の担い手を目指す女性研究者のキャリアアップを支援することを目的としたものです。受賞対象となった研究課題は、「予後不良胃がんに対するαGlcNAcとMUC6を指標とした診断法・治療法の確立」です。本研究では、胃腺粘液特異的糖鎖α1,4結合型N-アセチルグルコサミン(αGlcNAc)と、αGlcNAcが結合するムチンコアタンパク質MUC6に着目し、胃がんの病態解明並びに新規診断法と治療法の確立を目指しています。藤井助教が研究活動を行っている医学部分子病理学教室では、ヒトの胃がん検体を用いた病理学的解析から「MUC6陰性の分化型胃がんはMUC6陽性の分化型胃がんと比較し、脈管侵襲やリンパ節転移などの病理学的悪性度が高いこと」や「MUC6陽性分化型胃がんの中でもαGlcNAc陰性例は陽性例と比較し病理学的悪性度が高く5年生存率も有意に低いこと」が報告されてきました。藤井助教は、主に培養細胞株を用いて、胃がん、膵がん、肺がんにおいてαGlcNAcやMUC6が、がん細胞の悪性度を機能的に制御していること、膵がんや肺がんの予後と相関していることを相次いで報告してきました。これらの結果を踏まえ、分化型胃がんにおけるαGlcNAcMUC6の発現低下が、がん細胞の悪性化や転移能の亢進をもたらす分子機構を解明するため、現在、培養細胞やマウス胃由来オルガノイドを用いた解析を行っています。最終的には、αGlcNAcMUC6が陰性、即ち予後不良分化型胃がんの治療薬選択の新規診断マーカーを確立し、早期発見と診断により適切な治療がなされ、転移を未然に防ぐ事を目指しています。

 
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