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妊娠中の喫煙が自閉症のリスクになる可能性をディープラーニング(AI)により発見

2024年02月08日 [プレスリリース][研究]

 信州大学先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所ニューロヘルスイノベーション部門/医学部分子細胞生理学教室の 田渕 克彦教授、森 琢磨助教らの研究チームは、実験動物であるマウスの体の各部位の動きをとらえ、その動きを統合して行動パターンを自動で読み取るAIシステムの開発に成功し、このシステムを用いて、妊娠期にニコチンを摂取させたマウスから生まれた子供の行動異常の解析を行いました。これまで、胎生期のニコチン暴露により注意欠陥多動性障害(ADHD)の発症リスクが上昇することが知られていましたが、田渕教授、森助教らが開発したAIシステムにより、これらマウスでもADHDに特徴的な行動パターンを検出でき、これに加え、社会行動の異常など自閉スペクトラム症に特徴的な行動異常があることも発見できました。また、これらマウスでは、近年自閉スペクトラム症のホールマークとして注目されている成熟後海馬ニューロン新生の異常も見られたことから、妊娠期のニコチン摂取が生まれてくる子供に対して、ADHDのみならず自閉スペクトラム症のリスクも高める可能性を見出しました。
この研究成果は、科学誌Cellsに2024年2月1日付で掲載されました。


【研究成果のポイント】

  • ●実験動物であるマウスの動きをAIによって検出し、社会行動の異常を評価するシステムの開発に成功しました。
  • ●妊娠期のニコチン摂取が、生まれてくる子供の自閉スペクトラム症のリスクファクターになる可能性を示しました。
  • ●胎生期のニコチン暴露により、自閉スペクトラム症との関係が示唆されている成熟後海馬ニューロン新生の異常が見られることを示しました。


※:一般に神経細胞は、成熟後は新たに作られることはありませんが、海馬の歯状回の一部のニューロンでは成熟後も神経細胞が作られることが知られています。


【詳細】
プレスリリース(PDF 834KB)

【論文タイトルと著者】
タイトル: Deep-Learning-Based Analysis Reveals a Social Behavior Deficit in Mice Exposed Prenatally to Nicotine

著者: Mengyun Zhou, Wen Qiu, Nobuhiko Ohashi, Lihao Sun, Marie-Louis Wronski, Emi Kouyama-Suzuki, Yoshinori Shirai, Toru Yanagawa, Takuma Mori, and Katsuhiko Tabuchi.

掲載誌: Cells

DOI: 10.3390/cells13030275.

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