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妊婦の有機フッ素化合物(PFAS)ばく露と、生まれた子どもの4歳時におけるぜん鳴・ぜん息との関連:子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)
エコチル調査甲信ユニットセンター(信州大学)教授の野見山らの研究チームは、エコチル調査の約1万8千組のデータを対象として、母親の妊娠中の血中有機フッ素化合物(PFAS)※1濃度と生まれた子どもの4歳時におけるぜん鳴(喘鳴)※2およびぜん息(喘息)※3症状の有無との関連について解析しました。その結果、母親の妊娠中の血中のPFAS濃度と子どものぜん鳴およびぜん息症状の有無との間に明確な関連は見られませんでした。しかしながら、長期的な影響については今後の研究が必要です。
本研究の成果は 2023年10月31日付で、Elsevierから刊行される学術誌『Environmental Research』に掲載されました。
〈発表のポイント〉
- ● 母親の妊娠中の血中PFAS濃度と子どものぜん鳴およびぜん息症状の有無との間に明確な関連は見られませんでした。
- ● 子どもの性別および母親のぜん息の有無によるによる明確な関連の違いは見られませんでした。
- ● 地域による関連の不均一性が見られました。
※1 有機フッ素化合物(PFAS)
炭素とフッ素の結合を含む有機化合物の一種のことで、様々な用途で使用されています。
※2 ぜん鳴(喘鳴)
気管や気管支が狭くなるなど、呼吸の際に「ヒューヒュー」や「ゼーゼー」という音がする状態です。
※3 ぜん息(喘息)
長期的な気管支の炎症により、わずかな刺激でも腫れたり、咳や痰(たん)が出たり、ぜん鳴が出るなどで、呼吸が苦しい状態を繰り返す状態です。
論文情報:
〈雑誌〉Environmental Research
〈題名〉Associations between prenatal exposure to per- and polyfluoroalkyl substances and wheezing and asthma symptoms in 4-year-old children: The Japan Environment and Children's Study
〈著者〉Takuma Atagi1,2, Kohei Hasegawa1, Noriko Motoki3, Yuji Inaba3,4,5, Hirokazu Toubou1, Takumi Shibazaki6, Shoji F. Nakayama7, Michihiro Kamijima8, Teruomi Tsukahara9,1,3, Tetsuo Nomiyama1,3,9 and the Japan Environment and Children's Study (JECS) Group10
1 安宅拓磨、長谷川航平、當房浩一、塚原照臣、野見山哲生:信州大学医学部衛生学公衆衛生学教室
2 安宅拓磨:信州大学医学部内科学第一教室
3 元木倫子、稲葉雄二:信州大学医学部 小児環境保健疫学研究センター
4 稲葉雄二:長野県立こども病院神経小児科
5 稲葉雄二:長野県立こども病院生命科学研究センター
6 柴崎拓実:信州大学医学部小児医学教室
7 中山祥嗣:国立環境研究所エコチル調査コアセンター
8 上島通浩:名古屋市立大学大学院医学研究科環境労働衛生学分野
9 塚原照臣、野見山哲生:信州大学医学部産業衛生学講座
10 グループ:エコチル調査運営委員長(研究代表者)、コアセンター長、メディカルサポートセンター代表、各ユニットセンターから構成
〈DOI〉
10.1016/j.envres.2023.117499(外部サイトにリンクします)
〈掲載日〉
2023年10月31日