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藤田敏郎特別特任教授が高齢者高血圧の発症メカニズムを解明し、論文がJCI誌に掲載されました
2020年07月20日 [研究]
高齢者高血圧の発症機序を解明~食塩の関与
この度、本学の藤田敏郎特別特任教授(東京大学先端科学技術研究センター臨床エピジェネティクス寄付研究部門フェロー)が高齢者高血圧の発症メカニズムを解明し、論文がJCI誌に掲載となりました。
高血圧は、心臓病や脳卒中などの致死的な病気の重要な原因となり、症状がないことからサイレントキラーと呼ばれておりましたが、その原因や機序は不明でした。
研究グループは、加齢と共に、血中の抗加齢因子Klotho蛋白が減少し、そのため高食塩を摂取するとKlothoにより抑制されていた血管の収縮経路が活性化して、血圧が上昇する一連の過程を高齢のマウスを用いて証明しました。また、それを裏付けるため、Klotho蛋白を補充して予め血中レベルを若いマウスと同程度まで回復させておくと、食塩を投与しても血圧が上昇しないことを示しました。
本研究はKlothoの関与する血管収縮経路の阻害薬を投与することにより食塩による血圧上昇を抑制できたことから、高齢者高血圧の新たな治療薬の可能性を提案しています。さらに、高血圧は予防が大切ですが、生活習慣の改善により血中Klothoを正常に維持することが高血圧発症の予防となることを示唆しており、血清Klothoは高血圧発症の予知マーカーとしても期待されます。
掲載誌: Journal of Clinical Investigation
タイトル:Salt causes aging-associated hypertension via vascular Wnt5a under Klotho deficiency
著者名:Wakako Kawarazaki, Risuke Mizuno, Mitsuhiro Nishimoto, Nobuhiro Ayuzawa,Daigoro Hirohama, Kohei Ueda, Fumiko Kawakami-Mori, Shigeyoshi Oba, Takeshi Marumo, and Toshiro Fujita
URL: https://www.jci.org/articles/view/134431