教員紹介

つじ りゅうへい

辻 竜平

社会学 教授

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1-5.その他 1.プロフィール

自己紹介と社会学分野への招待

なぜ、今自分は社会学者を学ぼうと思うきっかけとなった原体験を2つ、そして今の関心について書いてみようと思います。
これを書こうと思ったのは、1年生が専門分野を検討するにあたり、社会学を専攻するかどうかの1つの判断基準となればよいと考えたからです。私と全く同 じ体験している人はいないでしょうが、比較可能な体験を持っていたり、共感を持ってくれたりする人はいるのではないかと思うからです。

原体験の第1は、中学校のときに吹奏楽をやっていたことです。私は、知っている人はよく知っている、宝塚市立宝梅中学校で吹奏楽部に入っていまし た。指導者は渡辺秀之先生で、私が入学した当時、大学を卒業してまだ4年目の先生でしたが、5年目にコンクールで全国大会に行くことを目標として掲げてお られました。私が1年生の時に関西大会に初出場し、2年の時(つまりちょうど5年目)に全国大会に初出場し、目標を実現されました(当時の全国大会出場最 年少指揮者)。1年生の時には、仮入部で100人もの生徒が入ってきて、鬼のようなしごきによって部員を絞るという、今はそんな教育はできないんじゃない だろうかと思うような厳しさを経験しました。腹筋100回を一日何セットもやらされるというようなものでした。これに耐え抜いたことは、まだ12,3歳く らいの少年にとっては、その後の社会の荒波を渡っていくさいの根性が身につく機会でした。
しかしながら、自分が3年のとき、順位が3位以内なら全国大会に進めるところ,1つ下の4位だったため、関西大会で終わってしまい、全国大会には行けませんでした。ここで、15歳の少年は、世の中の厳しさを最初に学ぶことになったのでした。
社会学を後に専攻するようになった私にとって、吹奏楽の経験は、個人ではなく集団の面白さを実体験して感じたという意味があります。個人的にうまい人も下手な人もいますが、それらをうまくブレンドすることによって、全体から素晴らしい音楽が創造されるのです。
「集団は、謎めいていてとても魅力的な存在だ。」 そういった感覚を持っている人は、社会学に向いているかもしれません。

第2に、異国や異なる社会の経験です。同じ中学校の2年のときですが、父親の仕事の関係で、1年間アメリカのミシガン州アナーバーに行き、現地の 学校に通いました。その1年間の経験は、多感な少年にとっては非常に苦しいことが多かったです。日本では、成績もそこそこだったのに、アメリカでは英語が 分からないので教科書すら読めず、数学しかよい点数が取れませんでした。別に「バカだ」と言われたわけではないのに、屈辱感を感じました。(ただ、不思議 と、劣等感は抱きませんでしたが。)少年ながら、社会環境が変わると、同じ人間でも違う人間のようになってしまうんだということを感じました。社会学的な 言い方をすれば、少年は、人間が社会のあり方に影響されるということを身をもって体験し実感した、ということになるでしょう。
その1年間は、よく旅行をしました。五大湖から東海岸にかけての平原や、西部の砂漠地帯など。どこまで行っても果てしなく続く同じような風景を見て、父 が「こんな広くてたくさんの資源のある国と戦争(太平洋戦争)をやって、日本が勝てるわけがなかったな」と言ったことは、少年にはとても印象的でした。 「自分に屈辱感を与える国を憎んでも、その国を叩きつぶしたり変えることはできないのだ」と。人によっては、社会からの影響を体験し、「社会を変えたい」 という気持ちを持つ人がいるかもしれません。それはそれで社会学を学ぶための1つの根拠となると思います。私の場合は、アメリカ社会を変えるなどという大 それたことはできないという諦めから、変革への意志を持つことはありませんでしたが、自分には何ともしようがない社会からの影響というものがあることに関 心を持ちました。
「社会のあり方や変化は、人々にどのように影響を与えるのだろうか。」 そういった興味関心を持っている人は、社会学に向いているかもしれません。

研究者になってからも、私の興味関心は、次々と変化してきています。その最も大きな体験は、2004年の新潟県中越地震です。その頃まで、社会 ネットワークについて研究してきていたものの、特定の研究対象を定めず、さまざまな対象に適用可能な一般理論を指向していました。しかし、中越地震の被災 地でインタビューをし、いろいろなことを考える中で、特に地域社会のネットワークを対象とした研究に強い関心を持つようになりました。
それでもなお、インターネットのようなヴァーチャル空間でのネットワーク、生物の神経細胞のネットワークなど、さまざまなネットワークに何か共通の法則があるのではないかというような、社会科学の範疇をも越えたネットワークの一般理論への関心も持ち続けています。
地域社会・学校・インターネットなど、ネットワークが関わる問題はたくさんあります。研究者1人にできることは限られています。私とともにさまざまな集 団や社会の不思議をネットワークという側面から学びたいと思う人は、私とともに研究しましょう。チーム社会学へようこそ。

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