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おおぐし じゅんじ

大串 潤児

歴史学 教授

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サークル誌をもとめて

サークル誌をもとめて 2007能代

9月3日、早朝に松本を発ち、一路、秋田県能代へ向かう。今回の旅は、1)『秋田のこだま』を長く編集されてきた畠山正治さんにお会いすること、2)『秋 田のこだま』の前身である能代高校二ツ井分校の作文集『夜学生の四季』を収集すること、3)能代を中心とする地域のサークル誌を調査すること、である。能 代駅に着いたのは18:30頃、どこの地方小都市もそうであるが、シャッター商店街を通り、その日の宿に入った。

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朝の能代駅。


9月4日、10:30、東能代駅前で畠山正治さんと待ち合わせ。おとも苑にて聴き取り、その後は畠山さんが持参してくれたサークル誌に目を通す。

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サークル誌『秋田のこだま』。       畠山正治さんと。

『夜学生の四季』『秋田のこだま』はもちろんのこと、以下のようなサークル誌に目を通すことが出来た。

1)『山脈』とその関連誌・・・・白鳥邦夫『F高と私』、能代山脈の会『のしろ山脈』、大館・北秋田山脈の会『岳』、二ツ井藤里山脈の会『季節』、東京やまなみの会『東京やまなみ』。

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二ツ井・藤里山脈の会『季節』。

2)秋田県北のサークル誌・・・・『DENKER』、IDEAサークル『青年文化誌 IDEA』、山民の会『山民』、比内町のサークル『こが ね』。 『秋田のこだま』に「この人の場合」を連載し、農村医療問題に鋭い発言をしていた西成辰雄が主催した秋田県農村文化懇談会の機関誌『炉火』および 『サークル物語』も見つけることが出来た(西成については『風雪のカルテ』秋田書房1980)。

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秋田県北のサークル誌。

畠山さんは、岩大時代に大牟羅良の影響を受け、『秋田のこだま』にも『岩手の保健』編集の手法が取り入れられている。能代北高校定時制をはじめ長く定時制教員を努め、現在は自然環境問題に携わっている。『秋田のこだま』と自然環境運動は畠山さんの2つの柱。
畠山さんが自然と人間の共生を考えるフィールドとしている日本有数の雁の飛来地である能代近郊の「小友沼」(おとも沼)を案内していただく。生活記録と 自然は、「いのちこそ宝」(「身近な自然の学ぶ『いのちこそ宝』」2006.4.26レジュメ、畠山正治『小友沼』秋田文化出版2003)でつながってい る。生活記録運動から自然運動へ、という1つのスタイル。

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小友沼を望む。


9月5日、東能代の駅で畠山正治さんとお別れの挨拶。またの再会を誓いました。八郎潟をへて男鹿・寒風山を横にみながら秋田市へ。能代のさわやかさと異 なり、台風が近いせいか、秋田は蒸し暑い日である。すぐさま県立図書館に行き、『秋田のこだま』の調査。ここでは、わずか1冊であったが、秋南詩話会『耕 す人』(第19号)を見ることが出来た。詩のみではなく多くの評論が載っている。重要な文献。

9月6日、台風の接近で秋田は風が強い。近ごろ開館した「あきた文学資料館」に向かう。HPから蔵書検索が出来、ここに『山脈』が6冊保存されて いることが判ったからである。資料館には、小牧近江や伊藤永之介、小坂太郎ら県内の文学関係者からの寄贈書が公開されていて、とくに同人誌のコレクション が充実している。畠山正治さんもここに『秋田のこだま』を寄贈している。『山脈』は、このうち畠山義郎氏寄贈コレクションのなかにあった。
07年9月現在、いまだ整理は完了して居らず、目録検索できるのは氏のコレクションの1部のみである。畠山義郎は、秋田県北合川町長として著名、簾内敬司『日本北緯40度』(日本経済評論社1995)がすぐれた伝記である。
市内の古書店をめぐって12:00すぐのこまちで東京に戻った。

多くの方に出会い、また多くの見知らぬサークル誌を目に出来た旅であった。

※本調査旅行は科研費補助金「戦後における「母の表象」に関する基礎的研究」によるものである。

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