教員紹介

はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

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進路決め

君の前に立ちはだかるその壁は何だ?

 昭和59年4月、地方国立大学の文学部に入学しました。当時そこは、入学する時点で専攻が決まっている仕組みでした。「中国哲学専攻」。その年の1月まで、その存在すら知らないところでした。入学してすぐの研究室ガイダンスで、「本当は教育学部の国語コースに行きたかったんですが、共通一次試験(今のセンター試験みたいなものです)で失敗したので、ここに来ました」みたいな挨拶をして、年配の教授による「高等師範をルーツとする教育学部とは異なり、文学部は文理大学の流れを汲む由緒正しい学部であって」云々かんぬんというお説教を頂戴する羽目になりました。嫌な学生だっただろうなあと思います。その後、訓点の付いていない漢文が存在するという当たり前の事実に感心し、高校の倫理や世界史の教科書にふつうに載っている朱子学の「理」と「気」の思想に興味を覚え・・・という感じで、それまでの無知・無関心が全てよい方向に作用して、大学院に進学することになりました。当時の所属教室には、朱子学の世界的権威の先生がおられ、大学3年の時に集中講義で魅了された新進気鋭の陽明学研究者がその翌年に助教授として着任されるなど、本当に運がよかったと思います。

 昨日、進級懇談会がありました。自分の抱いている興味関心・志望動機をしっかりと話してくれる学生が多くいて、心底「えらいなあ」と感心しました。でも、一言も話さず黙ったままだった人、第三巡目ぐらいにブースまでは来たけど興味なさげに座っていた人も同じくらいいて、「昔の自分と同じだなあ」と(言い方はおかしいですが)嬉しくなりました。どちらの人たちも、これから一生親しんでいける学問領域と出会えることを願ってやみません。上に書いたような情けない大学生活を送った人間なので、えらそうなことは言えませんが、以下、私の考える進路決めのコツを記しておきます。

★学問における「分野」は、ある意味きわめて便宜的に設定されたものに過ぎません。そして、全ての問題はどこかでつながっています。便宜的に設定された「分野」という壁にとらわれることなく、以下の2点をチェックしてみてください。  (1)大学は、「結果」を学ぶところではなく、「結果」を導き出す「手法」「作法」「姿勢」を学ぶところです。どういう「手法」「作法」「姿勢」で問題解決を目指している分野なのかを、しっかり確認してください。  (2)やりたいことだけやっていればいいというほど、世の中は甘くありません。どんな分野に進級したとしても、大して興味の湧かない/苦手な内容の講義・演習は必ず出てくるはずで、そこでどれだけ我慢できるか、あるいはそれをどこまで「好き」に近づけることができるかは、快適な大学生活を過ごす上でとても大事な要素です。自分の「好き」だけでなく「嫌い」のほうもよく吟味し(意外とそれが「すごく好き!」に転じたりするものです)、また、そういう視点で志望分野のシラバス等をチェックすることをお勧めします。

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